悠々自適なセカンドライフから急転直下…老後資金の「枯渇の恐怖」

のんびりと夫婦二人の生活を謳歌するつもりだったマモルさん夫婦。しかし突如、孫を含めた4人家族になりました。ナナコさんはパートで働くといっていますが、無一文で転がり込んできた娘一家の当面の生活費は、マモルさんが負担するしかありません。

2人暮らしが4人暮らしになれば、食費や水道光熱費も跳ね上がるでしょう。夫婦の年金の範囲内での生活は難しくなるため、預金を取り崩しての生活になりそうです。

さらに、来年、孫は小学校入学を迎えます。机やランドセルなど学用品を揃えてやらなければならず、ある程度のまとまったお金も必要になりそうです。ナナコさんがすぐに自立できるとも考えられず、マモルさん夫婦の負担は増える見込みです。

悠々自適なセカンドライフから急転直下、マモルさん夫婦は先が見通せず老後資産が枯渇するのではないかという恐怖にさらされているのです。

【CFPの助言】老後資産を守り抜く「3つの鉄則」

子どもはすでに独立、これからの生活は「年金と潤沢な預金で安泰」と、退職後の生活設計が順調そのものに見えていたのに、子どもの離婚や借金問題など予期せぬ出来事により親のライフプランが大きく変わってしまうことがあります。

こういったケースで相談を受けた際にファイナンシャルプランナーができることは、「老後資産を守りながら家族を支える方法」を一緒に整理することです。

法的責任の所在を明確にする

夫の借金に対するナナコさんの法的責任が本当にないのか、確認させることが重要です。万が一、ナナコさんが連帯保証人になっていた場合などは、親の老後資金まで共倒れになる危険があるため、早急に弁護士などの専門家へ相談する必要があります。

4人暮らしの家計を見直す

次に、マモルさん自身の家計の見直しです。4人暮らしになってどの程度生活費が増えるのかを具体的に把握しましょう。年金収入だけでは不足することが予想されるので、その場合の預貯金の取り崩し額が年間にするといくらになるのかを試算してください。

そのうえで、夫婦が90代になる30年先までの必要額をキャッシュフロー表に落とし込んでみましょう。ここで忘れてはいけないのが、今は必要のない医療費や介護費用をある程度見込んでおくことです。

生活再建の計画を立てる

最後に、マモルさんはナナコさんに「援助がいつまで必要なのか」を明確に示し、自立に向けた生活再建の計画を早急に立てさせる必要があります。

「とりあえずパート」という働き方ではなく、長い目で見れば正社員を目指すことが重要です。ひとり親家庭が低収入に陥りやすい一因は、育児のために働く時間を制限してしまうことにあります。正社員になれば収入も安定しますし、万一、怪我や病気で働けなくなったときの休業補償も手厚くなります。

「正社員になると孫の世話で自分たちの負担が増えるのではないか」と心配になるかもしれませんが、来年、孫は小学生になります。学童保育などを活用することで、マモルさん夫婦の負担は軽減できるでしょう。

また、ひとり親家庭が受けられる公的支援を活用するよう助言することで、マモルさん自身の家計負担を軽減できる可能性もあります。両親からの援助は期限と金額を決めて、「生活再建のための一時的な避難所」としてもらうことが望ましいでしょう。

孫の教育費についても、祖父母だけが抱え込む必要はありませんが、準備は早いに越したことはありません。目標金額を決めて積み立てを始めましょう。

FP事務所MIRAI
山﨑裕佳子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®