「生活費が足りない」なら、迷わず年金の繰り上げを検討する

しかし、働きたいけれど働けない、もしくは現役時代に老後資金が十分につくれなかった方は、WPP理論の実践など考えるべきではありません。定年後すぐに、日々の生活に困るという方もいるでしょう。この場合、繰り下げどころか、繰り上げを検討してください。

まずは生活が第一。日々の生活費に困るようであれば、早めに年金を受給し、支出を年金などの収入額にできるだけ近づけていきましょう。

こうして新たな生活基盤をつくり直し、それでも赤字が続きそうなら、改めてその後の暮らし方を再検討します。日々の生活を安定させることが先決です。

「老後資金が心許ない…」年金増額を狙う貯金800万円・67歳男性の事例

Gさん(67歳)は妻とふたり暮らしで、子どもはいません。贅沢に暮らしてきたわけではありませんが、あまり貯蓄できずに定年を迎えます。退職一時金は約600万円で、貯蓄は総額約800万円となりました。

老後資金が心許ないと考え、定年後も再雇用制度を利用して働き続けました。この間、70歳まで雇用される別の業種の委託社員になる話が舞い込み、転職を決意。ところが、転職先の業務が肌に合わず、ストレスが増して2年で退職。再就職も考えましたが、年齢的になかなか採用されず、年金生活に入ることを検討しています。

年金は受給を1か月繰り下げれば0.7%、1年で8.4%、10年なら84%も増やせます。Gさんも定年直後は75歳までの繰り下げを目指しましたが、生活費や健康状態が気になり始め、70歳までの繰り下げを目標とする資金計画に変更しました。

5年の繰り下げでも受給額は42%も増えるため、老後資金不足はかなり解消できます。ところが、70歳まで働き続けるもくろみが頓挫しそうなのです。