年金受給額が10年で84%増…知っておきたい「繰り下げ受給」の仕組み

年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」の制度について気になっている方は多いと思います。

年金の受給開始は原則65歳ですが、60〜75歳の希望するタイミングから受給できます。65歳よりも早い60〜64歳の間から受給することを「繰り上げ受給」、65歳よりも遅い66〜75歳から受給することを「繰り下げ受給」と呼びます。

それぞれメリット、デメリットがあります。繰り上げ受給では、1か月早めるごとに0.4%、受給額が減ります。1年の前倒しなら4.8%、5年なら24%も減ってしまいます。

一方、繰り下げ受給は1か月遅くするごとに0.7%ずつ受給額が増えます。1年の後倒しなら8.4%、5年なら42%、10年なら84%も増えます(図表1参照)。

減額または増額された年金額が生涯の受給額となるため、その判断が老後の暮らしに与える影響は少なくありません。

[図表1]「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」の仕組み

「労働・私的年金・公的年金」の3つで老後のお金を長生きさせる「WPP理論」

老後の“長生きリスク”に備えるために、「WPP理論」というものが広まっています。「W」はWork longerの略で、つまり長く働くこと。「P」はPrivate pensionsで私的年金など。もう一つの「P」はPublic pensionsで公的年金を指します。

できるだけ長く働きながら暮らし、収入が少なくなったら私的年金などの老後資金で生活費を補い、公的年金はできるだけ繰り下げ受給して増やすという考え方です。

人生100年時代という長い老後を豊かに生きるためには、お金は少しでも増やしておきたいもの。おふたりさまの場合、年金の受け取り方の選択肢が複合的にいろいろ考えられ、得する可能性が高まります。すべての方が実行できるとは限りませんが、可能な限り、繰り下げ受給を検討してみましょう。

[図表2]繰り上げと繰り下げの増減率のイメージ