都市部の家賃高騰は、単なる家計の圧迫を超え、高齢者の住まいを奪う深刻な事態を招いています。年金月13万円で暮らす74歳女性の事例をもとに誰もが直面し得る居住選別の厳しい現実と、その対策をみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
年金月13万円の74歳女性「後悔しています」…住まいを追われた「賃貸暮らし」独居老人の実態【CFPの警告】
「住まいの確保」が喫緊の課題に
近年、賃貸住宅の家賃は都市部を中心に高騰しています。内閣府によると、東京都の募集家賃指数は右肩上がりが続いており、住まいにかかる負担は年々重くなっているようです。
地価高騰により住宅価格が高騰し、購入を断念して賃貸に流れる人が増えたことで、賃貸需要が高まり、家賃の上昇に拍車がかかっている状況です。また大家側も、上昇した建設費や維持費を回収する必要があり、賃料を引き上げなければ経営が成り立ちにくくなっています。
そのため、更新時の値上げや建て替えなどを理由に、住まいを追われてしまう事態が発生しているのです。
借りたくても借りられない…超高齢社会・日本で起きている社会問題
また現在、日本では、下記のような理由から「高齢者が賃貸を借りにくくなっていること」が、社会問題となっています。
・孤独死リスク
・収入面への懸念(家賃滞納リスク)
・緊急連絡先や保証人の不在
大家側の視点に立てば、孤独死などのトラブルが発生した場合、物件価値の低下や原状回復費用など、多額の損失につながる恐れがあります。そのため、「高齢の一人暮らし」というだけで入居審査が慎重になるケースも少なくありません。
居住選別に遭った高齢者の「住まい確保」対策
居住支援法人の活用
今回紹介したようなケースでは、「居住支援法人」への相談が有効でしょう。居住支援法人とは、高齢者や低所得者、障害者など、住まい探しに困っている人に対して、入居相談や物件紹介、家賃保証、見守り支援などを行う法人です。都道府県が指定しており、住宅確保を支援する役割を担っています。
UR賃貸の活用
また、「UR賃貸」を活用するという手もあります。「UR賃貸」とは、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理・提供する公的な賃貸住宅のことで、礼金・仲介手数料・更新料・保証人がすべて不要である点が大きな特徴です。高齢者向けの物件も多く、一般の賃貸よりも審査に通りやすい傾向があります。

