厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」は、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けています。なかでも「夫(妻)の定年」は、離婚を決意するひとつのタイミングのようです。定年離婚を狙っていた妻と、突然の離婚宣告に驚いたものの、すぐに受け入れた夫の事例から、離婚後の財産分与についてみていきましょう。弁護士が解説します。
お勤めご苦労様でした。別れましょう…定年退職日、花束を抱えて帰宅した65歳男性、年下妻から告げられた「突然の離婚宣言」に絶句→すぐに了承した“したたかな理由”【弁護士の助言】
「徹底抗戦」は損?…熟年離婚の現実
まず前提として、配偶者の一方が突然「離婚したい」と告げたからといって、直ちに離婚が成立するわけではありません。
裁判離婚には法定離婚事由が必要であり、もし相手が応じなければ「定年だから別れたい」というだけでは離婚が認められるとは限らないのです。
もっとも、本件ではシゲルさんも離婚に応じる方向です。よって、実務上の中心は「離婚するか」ではなく、シゲルさんが「いくら払って別れるか(≒財産分与)」が中心となるでしょう。
熟年離婚では、婚姻期間中に形成された預貯金や退職金は、原則として財産分与の対象となります。仮に退職金と貯蓄を合わせて3,000万円が夫婦共有財産と評価される場合、基本的には2分の1、すなわち1,500万円前後が妻側の取得目安です。
もちろん、今回のケースでは特有財産の有無や配偶者の浪費、実家への過度な援助などの事情によって、調整余地はあるでしょう。とはいえ、「夫名義だから全部夫のもの」とはなりません。
一方、たとえばシゲルさんが「財産を半分とられるのは納得できない」と素直に離婚に応じなかった場合、別居などで婚姻費用の支払問題が続く可能性もあります。また金銭面だけでなく、感情的摩耗や時間的コストも無視できないデメリットです。
そのため、「徹底抗戦」が常に得とは限りません。財産分与・年金分割等を踏まえたうえで、一定の条件で早期に合意離婚することが合理的なケースもあります。
熟年離婚では、感情よりも「財産分与」と「今後の生活設計」を冷静に見極めることが重要なのです。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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