厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」は、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けています。なかでも「夫(妻)の定年」は、離婚を決意するひとつのタイミングのようです。定年離婚を狙っていた妻と、突然の離婚宣告に驚いたものの、すぐに受け入れた夫の事例から、離婚後の財産分与についてみていきましょう。弁護士が解説します。
お勤めご苦労様でした。別れましょう…定年退職日、花束を抱えて帰宅した65歳男性、年下妻から告げられた「突然の離婚宣言」に絶句→すぐに了承した“したたかな理由”【弁護士の助言】
「定年離婚」を狙っていた妻、すぐに受け入れた夫
「驚きながらも、どこか冷静に計算している自分がいました」
そう語るのは、都内の大手メーカーを定年退職したばかりのシゲルさん(仮名/65歳)です。
現役時代は、家族を養うため仕事一筋だったシゲルさん。特にお金のかかる趣味などもなく、退職金と貯蓄を合わせると老後資金は3,000万円を超えていました。
定年後は、10歳年下の妻であるユミさん(55歳)に地方移住の提案をしようと考えていたそうです。
しかし、退職当日の夜。花束を抱えて帰宅したシゲルさんを待っていたのは、豪華な夕食ではなく、テーブルに置かれた一通の離婚届でした。
「お勤めご苦労様でした。それで、別れましょう。これからはお互い自由に生きたほうが良いと思うの」
妻からの突然の宣告に、シゲルさんは絶句。いわゆる「熟年離婚」の危機です。
しかし、シゲルさんはわずか数分の沈黙の後、驚くほどあっさりと「わかった」と受け入れたのです。
実はシゲルさん、以前からユミさんの浪費癖と、実家への過度な金銭援助に頭を悩ませていました。
お金のかかる趣味はなく、酒やたばこ、ギャンブルなども一切しないシゲルさん。本来なら退職金を含めて5,000万円以上貯まっていても不思議ではないと考えていたそうです。
コツコツ貯めた老後資金も、このままではユミさんの手によって数年で食いつぶされるかもしれない……シゲルさんは、そんな最悪の事態を阻止するため、誘惑の少ない地方への移住を提案しようとしていたのでした。
しかし、ユミさんから「離婚」という言葉が出たことで、妻の浪費癖と義実家への金銭援助に対するストレスから解放されると気づいたシゲルさんは、「どうすればもっとも自分に有利な条件で離婚できるか」という考えにシフトしたのでした。
憔悴したフリをしながらも、内心ではしたたかに戦略を練っているシゲルさん。果たして、このまま合意離婚するべきなのでしょうか。