マンションをめぐる「購入か、それとも賃貸か」という論争。この問題について、12万部超えのベストセラー『節約の王道』の著者である林望氏は、「マンションは賃貸に限る」と断言します。その理由について、林氏の新著『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』(朝日新聞出版)よりみていきましょう。
“持ち家vs賃貸論争”に終止符?…節約の達人が「マンションは賃貸に限る」と言い切る理由
持ち家か賃貸かを選ぶとしたら
私の経験から割り出した考え方として、「マンションは賃貸に限る」ということがあります。
なにしろ、マンションのような集合住宅は隣に誰が住んでいるかわからない。隣人と騒音などで諍いになって殺し合いにまで至ってしまった、というのもたまに聞く話です。そのリスクは非常に怖いし、いつそんな目に遭わないとも保証の限りではありません。
それほどひどいことでなくても、たとえば、下の階の住人が喫煙者でベランダに出てタバコを吸っていて、この煙が自分の部屋までどんどん入ってきてしまって困っている、とします。その文句を言っても逆捩を食らわされるかもしれないし、隣人が大音声で音楽を聴いているのが迷惑だとか、集合住宅の住宅間トラブルの素はいくらでも考えられる。
これがもし「持ち家」であったなら、そう簡単には引っ越せないし、じゃあといって、隣人に問題のある“故障物件”では売るにも売りにくい。すったもんだして、しまいに訴訟を起こすなんてことになれば、もう“何をか言わんや”ですね。
だからこそ、賃貸ならば簡単で、トラブルになったら引っ越せばよい。しかし、一旦買ってしまうとなかなか引っ越せない。これがマンションを買うことのリスクの一つです。
またお金の面から言うと、マンションを買ってローンを支払うのと、賃貸のお金を払うのとはほとんど同じです。そして、この災害の多い時代に、たとえば地震によって、万一マンションが壊れてしまった場合、賃貸ならばさっさと出て行けばいいだけのこと。何の損害もありません。
でも、もし自分の持ち家だったら、「マンションを修補するので1人3,000万ずつ出してくれ」とか言われかねません。支払えないとなると、しまいには訴訟になります。
自分の家は少しも壊れていないのに、どこかが壊れてしまったらもうこのマンションはだめだというようなことになる例もいくらでもある。そうすると、やはりトラブルを背負い込む元になりますから、マンションに住むなら賃貸にしておいたほうが安全ですね。
けれども、一戸建ては買ったほうがいいと思うのです。仮に火事で焼けたとしても土地は残っていますから、自分でまた建て直そうと思えばできます。
しかし、マンションではそうはいきません。だから、こうした災害の多い時代になると、「賃貸のマンション」に住むか、または「持ち家で一戸建て」にするかという選択になると私は思っています。
