マンションをめぐる「購入か、それとも賃貸か」という論争。この問題について、12万部超えのベストセラー『節約の王道』の著者である林望氏は、「マンションは賃貸に限る」と断言します。その理由について、林氏の新著『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』(朝日新聞出版)よりみていきましょう。
“持ち家vs賃貸論争”に終止符?…節約の達人が「マンションは賃貸に限る」と言い切る理由
投資目的のマンション購入はおすすめしない
投資のためのマンション購入についてはどうかというと、経験上、これも私はお勧めしません。
マンションやアパートの一棟売りなどで「1戸あたり家賃がひと月これだけ取れて現在満室状態、オーナーチェンジで売ります、利回り12%」などといううたい文句の投資物件があるとします。
利回りが年何%といっても、それは満室状態を前提とした表向きのことであって、実際自分が貸マンションのオーナーになってみると、そううまくはいかないものです。
現在満室であったとしても、いつまで満室が続くかは保証がない。こういうマンションの賃貸物件は、「The newer,the better」━━新しいほど価値があるのです。築何年と年数が経つに従って、どんどん取れる家賃が下がっていきます。
したがって、よほど高級な一等地の物件でもないかぎり、家賃はだんだんと下がっていって、思うようには儲からないということを覚悟しておかないといけません。
だいたい賃貸物件サイトなどを見てみれば、いかに膨大な戸数の空き室が出ているか、そうそう簡単には部屋の借り手などは見つからないと心得ておくのがよいと思います。
私自身、節税のためということで、マンションを所有する不動産投資もやってみました。しかし、簡単に買える物件というのは、えてして郊外のちょっと不便なところにあるマンションで、店子が出て行くと、すぐには後の入居者は決まらないものです。
そうなると、ただただローンを払い続けるだけで、家賃は入らず、「取らぬ狸の皮算用」で、いたずらに赤字が累積してゆくのでありました。なかには、家賃が払えないので、待ってくれといって何ヵ月も滞納する店子がいたり、なかなか思うにまかせぬことばかり多いので、売ってしまうことにしました。
ところが、最大の難点はすぐには売れないということです。お金が必要になったときに売れない。となると、売るためには投げ売りしなくてはならなくなる。こうなると、買ったときより売ったときのほうが安い値段ということになるので、多少の節税効果はあったものの、結局総合してみれば赤字であった、ということになりました。
そうしたことを考えると、投資のためのマンションとして、持っていて比較的安全なのは、都心一等地の高級マンションでしょう。
ただ、それだと資産価値が下ることはあまりないのですが、そもそも庶民には高くて手が出ません。一方、郊外の物件だと、資産価値としては、まあ下がる一方だと覚悟しなくてはならないでしょう。
つまりは、結局のところ何億も何十億も手元に豊富な資金のある人は儲かるけれど、小金を運用するようなことでは、結局なにも儲からない、これが冷厳なる現実でありました。
林 望
作家・書誌学者
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