2024年からはじまった新NISAを機に、株式や投資信託を用いた資産運用が広く普及しました。ほとんどの人は資産を増やすために投資をしていることでしょう。しかし12万部超えのベストセラー『節約の王道』の著者である林望氏は「株式投資は資産を持つ人がやればいい」と否定的です。いったいなぜなのか、林氏の新著『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』(朝日新聞出版)よりその理由をみていきましょう。
NISAは庶民から搾取するための装置?…節約の達人が「株式投資」に否定的な理由
投資は資産を持つ人がやればいい
アメリカ人は、子どものころから、貯金や投資、それからドネーション(寄付)という考えが身についている。ドネーションとは、お金に余裕がある人が世のため人のために寄付するということ。これはキリスト教的観念であって、キリスト教はよく教会に寄付をするし、慈善活動も盛んです。
だから、お金に余裕のある人たちは、自己の幸福のために、他者に寄付をするわけです。
とはいえそれは、考えてみると、莫大な資産を持っていると税金がかかるから、寄付によって租税回避するというドライな側面もあるので、単純な善意とばかりは思えません。寄付をすると、税金が一部免除になる、これはどこの国でも同じことではなかろうかと思います。
それは、まあ信念の問題で、資産運用とか財産保持とかいうこととは、ひとまず全然別のことだといわなくてはなりません。
まずは「冷静に考えてください」と言いたいのです。日々の生活に使わないようなお金が1億も2億もあるような人に「株の投資でもどうですか?」と勧めて、「でも株だとしくじる場合もあるから投資信託型のものにお金を預けてください」というのは理屈としてわかる。
でも、私なんぞはそんな余裕はないので、たいせつな自己資金を、誰とも知らぬ人に預けて運用してもらうということが、どうも信用しがたいのです。
株式投資は儲けるためのものではない
そもそも「株の売り買いとはなんだろう?」と、私はいつも思うのです。
信頼する友人で、日本でも指折りの投資アナリストである岡本和久さんに教えてもらったことなのですが、たとえば、世の中のためになる事業をする人間が出てきた。でも、資本がないからお金をみんなから集めたい。そこで、資金を持っている人は「ああ、あれはなかなか見どころがあるし、世のため人のためになる事業だからね。じゃあ、この人にその事業をやらせてみようか」と出資する。
で、その人はいいアイデアを以て、世のためになるような事業を続けた結果、10年後には大企業になって莫大な利潤(りじゅん)が出るようになった。その儲かった分を、お金を出してくれた人に還元してくれるというのが、株の配当金というものです。
そのような状況になれば株価もどんどん上がるから、それを売ると、最初に投資した人は儲かる。株式はそうしたことであって、はなから儲けるために売り買いをするわけではない、と。「株というものはみだりに売り買いしてはいけない」と、彼はこう言うのです。
