あ然…施設長から知らされた「施設での父の顔」

「え…どういうことですか?」

理由は、父親の認知症が進行しているためとのこと。施設長によると、父は夜間に何度も居室を出て他人の部屋へ入るほか、記憶の混濁によるスタッフへの暴言や介護拒否、他の入居者とのトラブルが増えているようです。

また、転倒リスクによる常時見守りも必要で、現在の施設の人員体制では安全確保が難しいという説明でした。

「そんな……」

現実を受け入れられないケンイチさんは、父の言動を謝りながらも、思わず食い下がります。

「費用なら追加で払います。個別対応でも何でもしてください……父はここを気に入っているようですし、お金でどうにかなりませんか?」

施設長は静かに答えました。

「お気持ちは分かります。ただ、施設はお父さまだけに人員を集中できません。他の入居者様の安全も守る必要があるのです」

介護施設はホテルではありません。お金を払えば無制限に対応できる場所ではなく、介護保険制度・人員配置基準・医療連携体制などが決まったなかで運営されています。

退去勧告が後を絶たないワケ

実は今回のように、施設側から退去をお願いするケースは珍しくありません。主な要因は、認知症症状の進行により集団生活が難しくなるケースのほか、医療依存度の上昇などです。

また、トラブルに発展しやすいケースとして、本来「元気な高齢者向け施設」であるにもかかわらず、入居者本人またはその家族が、将来の重度化した介護や医療まで期待していたことで起きるミスマッチなどもあります。

後悔しない施設選び…もっておきたい3つの視点

1.「今」ではなく「将来」を見る

元気なうちは快適でも、認知症や介護度が重度化した後に住み続けられるか確認が必要です。

2.看取り・認知症対応の実績を確認する

パンフレットだけではなく、実際にどの程度まで対応してきたか実績について質問しましょう。

3.費用だけで決めない

高額な費用を支払うからといって施設は万能ではありません。人員配置・医療連携体制が重要です。

ケンイチさんは後にこう漏らしました。

「ある程度のことはお金で解決できると思っていました。でも、施設に関する知識が足りなかった」

年収2,000万円でも、親の介護問題を「お金だけ」で解決することはできません。

仕事が忙しい人ほど元気なうちから親と話し合い、資産状況・希望・介護方針を共有しておくことが重要です。

「まだ元気だから大丈夫」と思っている今こそ、最初の一歩を踏み出す時期かもしれません。

武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役

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