「配偶者が亡くなったときは、遺族年金が受け取れるはず」そう考えている人は多いでしょう。しかし、実際には対象外となるケースも少なくありません。その背景には、時代の変化に追いついていない制度の前提や、男女差の残る仕組みがあるようです。遺族年金が抱える問題点と「受給対象外」になってしまう条件について、事例をもとにみていきましょう。
年金もらえないって…なんで!? 年収800万円の妻を亡くした52歳男性「遺族年金ゼロ円」の現実にあ然【CFPが「遺族年金の注意点」を警告】
マサヒロさんが「遺族年金ゼロ円」の理由
遺族厚生年金の受給対象者は、故人に生計を維持されていた遺族のうち、「配偶者または子」「父母」「祖父母」の順で、優先順位の高い遺族から支給されます。「子」の条件は遺族基礎年金の場合と同じです。
マサヒロさんの子どもは19歳なので、遺族基礎年金は受給対象外となります。
そして、遺族厚生年金についても、配偶者ではありますが、受給対象外です。
共働きで「故人に生計を維持されていた」とはいえないからでしょうか。いえ、生計維持の収入要件は「前年の収入が850万円未満」であり、マサヒロさんは満たしています。
では、なぜ遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金についても支給対象外なのでしょうか。
遺族厚生年金の受給要件は、夫が死亡した場合と妻が死亡した場合で異なります。
遺族厚生年金の受給対象者のうち、優先順位が一番高いのは「配偶者または子」ですが、配偶者が夫の場合、55歳以上でなければ支給対象とはならないのです。そして、支給対象だったとしても、受給開始は60歳以上です。ただし、夫が55歳未満の場合でも、18歳未満の子がいれば、子に対して遺族厚生年金が支給されます。
ちなみに、夫の死亡により妻が遺族厚生年金を受給する場合、妻の年齢制限はありません。
マサヒロさんの場合、自身は52歳、子どもは19歳。よって、遺族基礎年金、遺族厚生年金、どちらも対象外になってしまうのです。
そんなに期待していたわけではないが、1円も受け取れないとは……。
家事も育児も担い、妻と協力してやってきたマサヒロさんだけに、なんだか納得がいきません。
遺族年金は改正予定
遺族年金制度は、「夫が外で働き、妻は専業主婦」という家庭を念頭に置いていて、夫を亡くした妻を支援する側面が強い制度です。しかし、共働き世帯の増加や女性の社会進出に伴い、時代にそぐわない制度となってきています。
遺族基礎年金は元々、一定の要件を満たす「子どもまたは妻」に支給されるものでした。それが2014年の改正で、支給対象者が「子どもまたは配偶者」に拡大され、夫にも支給されるようになっています。
さらに、2025年6月には「年金制度改正法」が成立し、遺族年金制度が大幅に見直され、男女差が解消されることになりました。
