なぜ信用できないかには理由がある

以前はもっと数多くの都市銀行がありました。しかし、平成時代に銀行の大合併が行われて、いくつかの大銀行に収束したのが現在の姿です。ただ、どうも以前のシステムがどこかに残っているらしく、銀行間の不整合が起きた結果、突然システムダウンするというようなことが現実にいくらも起こっています。

そしてそういう不手際で顧客に多大の迷惑をかけておいても、なんの補償もしないという、このあこぎなる体質には、はなはだあきれ果てるばかりです。

それゆえ、銀行の言いなりになって、すべての取引をオンラインだけにしていたとしたら、もしそのシステムがダウンしたり、あるいは外国の黒い組織からハッキングされたりしたら、当座に必要な現金を出すのも入れるのもできなくなってしまう。

キャッシュレスという現今の風潮の背後には、そういうのっぴきならないリスクが伏在しているのだということを、まずもってよく認識していなくてはなりますまい。

人間がやる以上、ミスの絶無ということはどうしたって保(ほ)しがたい。人間はあやまりを犯す存在なのです。あるいは、悪意で人の口座から金を盗みとったり、組織のシステムに入り込んで悪さをしたりする組織的犯罪だって、世界中にいくらも発生しているではありませんか。

林 望
作家・書誌学者

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