2023年に史上最高の黒字を達成した銀行協会。銀行は公共性が高いものの民間企業であるため、利益を追うのは当然でしょう。しかしその儲けは、ユーザー(特に高齢者)の犠牲のもとで増えているのかもしれません……12万部超えのベストセラー『節約の王道』の著者で、御年77歳になる林望氏の新著『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』(朝日新聞出版)より、林氏の実体験を交えてみていきましょう。
銀行員「申し訳ありません。順番にご案内しておりますので」…銀行業界“過去最高水準の大黒字”の裏で泣く高齢者の実態
「便利さ」の裏に潜む怖さ
そうして、「スマホを読み取り機にかざすだけで、支払いが完了するタッチ決済ができて便利です」「タッチ決済はお待たせしません」という点も強くアピールしています。
しかし、冷静に考えてみるとかなり怖いことです。
そういうことが他人に悪用される恐れが決してないと言えるのかどうか……いや、たしかに便利は便利かもしれないけれど、それ以前に、いちいちアプリなどを入れたりして、あれこれとやらなくてはならないというのは、私のように、そういう煩雑な手続きを苦手としている、とくに高齢者たちにとっては、非常にやりにくいところがあります。
だからといって、それを誰か他の人にやってもらったりすると、悪用する人が決してないとも言えない。だから、そういうシステムを「当然のこと」として、なんでもそちらへ誘導しようとしている、社会全体の風潮そのものが、もう私には親しみがもてません。
2023年、銀行協会は「史上最高の大黒字」
それにつけても、銀行内の窓口の様子を見ていても「どうしてお客の数に比して、こんなに銀行員が少ないのだ?」と感じるわけです。
ははーん分かった、要するに、銀行は人件費を節約したいし、待つのが嫌ならオンラインにしたらどうだと誘導しているのであろう! 結局のところ、よくよく考えてみれば、それもこれも、銀行が人件費をできるだけカットしたい、そしてお客にアプリ決済などを勧めて、要は銀行が儲けるためにしていることに相違ないのです。
2023年は銀行協会は史上最高の大黒字だったというニュースを見ました。
それも、しかしひどい話です。
よろしいか、なにしろ私どもユーザーから預かった貯金には事実上利子など付けず、それでいて、自分の金をATMで引き出すだけで、一年分の利子の何十倍もの手数料をとっているのですからそりゃ儲かったでしょう。
そのうえ、もっと儲けるためには銀行員を減らせばいい。で、支店も減らせば経費がかからないし、手続きなども全部オンラインにしていけば、それはもちろん銀行は儲かるでしょう。
