厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けているそうです。一方、その場の感情で後先を考えずに離婚し、後々後悔するケースも少なくありません。定年後の夫に嫌気がさし離婚を切り出した59歳女性の事例から、離婚後に後悔しないための注意点をみていきましょう。
後悔しています…元夫の定年退職金「1,500万円」を奪い離婚した59歳パート女性、新生活を「夢も希望もない」と嘆く切実な理由【CFPの警告】
あれ?…アケミさんの新生活を阻む壁
ところが、住みたいと思える物件に問い合わせてみるものの、一向によい返事がもらえません。
「59歳一人暮らし、パート収入」というアケミさんの属性が、賃貸契約のハードルを高くしているようです。
徐々に焦り始めたアケミさん。離婚していつまでも同居するわけにはいかないため、仕方なく繋ぎのアパートを借りることにしました。
「仕事が安定して収入が増えたら引っ越せばいいわ」と、このときはまだ楽観的だったそうです。
そして、念願の新生活がスタートします。
資格取得に全力を注ぐため、パートは辞めました。無収入の間は預金を取り崩すことになりますが、夢が実現すればすぐ取り返せると思っていました。
半年後、無事に資格を取得、就職先もスクールの斡旋によってなんとか見つけることができます。
ところが、ほどなくしてアケミさんは、ネイリストの仕事が想像以上に過酷であることを痛感しました。
高い集中力が必要で気の抜けない作業であるうえ、顧客を飽きさせないよう気の利いた話題も必要です。指名が入れば収入が増えますが、気に入ってもらえなければ収入は基本給のままでした。
念願の仕事について1年ほど経過したころには、「このまま、やっていけるのかしら……」と先が見通せなくなってしまったそうです。
言い換えれば「生きていくために働く」ことの過酷さを知ったのでしょう。アケミさんは「いまは未来に夢も希望もありません。こんなに辛いなら離婚なんてしなければよかった」と嘆きます。
離婚を後悔しないために
今回紹介したアケミさんのように、先の見通しが甘かった故の離婚後の後悔は少なくありません。特に、夫に扶養されていた妻が離婚を望む場合、少なくとも次のような事前準備が必要でしょう。
1.経済的自立が可能かのシミュレーションをしてみる
1,500万円という金額は、一見まとまった金額のようにみえるでしょう。しかし、たとえば月に15万円で生活する場合、年間180万円が必要になり、1,500万円は8年ほどで消えてしまいます。
2.「生きていくための仕事」をする覚悟があるか自分に問う
59歳という年齢の再就職の厳しさや、体力的な限界も認識しておく必要があるでしょう。また、「理想の仕事」が「生活のための仕事」にできなかった場合の想定も大切です。
3.高齢者の賃貸リスク
離婚後に賃貸住宅に住む場合、高齢になると「住み替え」が難しくなるというリスクも念頭に置いておきましょう。いずれ実家を相続する予定であれば一定の安心は得られますが、そうでない場合は何らかの対策が必要かもしれません。
4.社会保険料や税金の自己負担を理解しているか
夫の扶養から外れると、社会保険料や税金を自ら負担する義務が生じます。手取りにどの程度影響するのか事前にシミュレーションして生活設計を立てないと、思い描いた生活ができないことがあります。