高齢化社会が進む日本では、“終の棲家”として老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの高齢者施設を選ぶ人が増えています。しかし、施設に入居したあとに「想定していなかった問題」に直面するケースも少なくありません。81歳女性の事例をもとに、「夫婦の年金問題」と「高齢者施設選びの盲点」についてみていきましょう。
施設長「申し訳ないですが」…年金24万円の80代夫婦、老老介護が限界に→「サ高住」に入居も、わずか2年で退去勧告を受けた“予期せぬ理由”【元社会福祉士FPが解説】
老人ホーム選びの盲点
自宅から介護施設への転居を検討するうえでは、次の3点に注意する必要があります。
1.夫婦の年金を前提に計算しない
夫婦で入居する場合、2人分の年金収入で生活費を計算するケースが多いです。しかし、現実には「どちらかが先に亡くなることで収入が減る」ことを考える必要があります。
2.施設費用は基本的に変わらない
夫婦のうち1人が亡くなっても、施設の家賃や管理費、サービス費は基本的にほとんど下がりません。そのため、収入は減るのに支出はほとんど変わらないという状態に陥ります。
3.介護度が上がると費用はさらに増える
ノリエさんは入居時自立していましたが、将来的には介護が必要になったり、病気で医療費がかかったりして月々の支出が増加する可能性もありました。入居時の費用だけで判断してしまうと、将来の支払いが立ち行かなくなるリスクがあります。
「後悔しない施設選び」のポイント3つ
介護施設への入居を検討するうえでは、次の3点を徹底しましょう。
1.1人になった場合の収支を正しく把握する
施設に入居する前に、「配偶者が亡くなった場合の収入で生活が成り立つか」を確認しておく必要があります。特に重要なのは、①遺族年金の金額、②生命保険や有価証券、③貯金の残高です。
「1人でも払い続けられる施設か」を判断基準にしておくと安心でしょう。
2.長期の資金計画を立てる
老人ホームは短期の住まいではありません。「どうせそこまで長生きしないから」と甘く見積もった結果、施設の利用料が支払えず退去した事例を、今回紹介したノリエさん以外にも複数知っています。
3.将来の介護費用も想定する
施設によっては「医療連携費」「看取り費用」などが、追加で必要な場合もあります。入居前に「その他の費用」についても必ず確認しておきましょう。
高齢者施設は安心して暮らせる一方、資金計画を誤ると住み続けられなくなるリスクがあります。
安心して暮らし続けるためにも、「現在の生活」だけでなく「将来の収入と支出」を見据えて、冷静に検討しましょう。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役