厚生労働省「人口動態調査」の結果によると、2024年の婚姻件数は48万5,063件、対して離婚件数は18万5,895件でした。1日あたり500組以上の夫婦が離婚している状況です。もっとも、離婚は「愛情が冷めた」「価値観が合わない」というだけで認められるものではありません。とある夫婦の事例をもとに、離婚を検討するうえで知っておきたいハードルをみていきましょう。弁護士が解説します。
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トオルさんはお金を取り戻せる?弁護士の見解
本事例で問題となるのは、夫婦の預貯金が法律上どのように扱われるかという点です。
一般に、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された財産は「夫婦の共有財産」と考えられます。
もっとも、実際の生活では一方が家計管理を担うことが多く、その範囲で生活費や通常の支出に充てること自体が直ちに違法となるわけではありません。そのため、妻が管理していた預金について、ただちに全額を返還請求できるとは限らないのが実務的な帰結です。
ただし、生活費の範囲を超えて多額の資金を私的に使い込んでいた場合には、財産管理として相当性を欠く支出として問題になる可能性があります。仮に夫婦関係が破綻し離婚となれば、財産分与の場面で使途不明金の扱いが争点となることもあるでしょう。
とはいえ、実際には「不当な使い込み」を裏付けるような証拠が残っていないことも多く、今回のトオルさんの立場から法的に対処するのは非常に厳しいと言わざるを得ません。
いずれにしても、このようなトラブルは長年の家計管理を一方に任せきりにしている家庭で起こりやすいものです。こうした争いを未然に防ぐためにも、日頃から夫婦で資産状況を共有しておきましょう。
山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士