“成功体験”に酔いしれるナオキさんの「次なる一手」

すっかり気を良くしたナオキさんは、定年後暇を持て余していたこともあり、YouTubeやSNSで投資情報をチェックするのが日課になっていたといいます。

そして2025年8月ごろ、日経平均株価が42,000円台に到達したタイミングで、NISA枠で保有していた投資信託を売却し、利益を確定させます。この成功体験が、ナオキさんの投資に対する見方を大きく変えることになりました。

そろそろ下落するはず…調整相場を予想して手を出した投資信託

利益確定を終えたころから、ナオキさんが目にするYouTubeやSNSでは「バブルではないか」「そろそろ調整が入るのでは」といった声が増え始めました。そうした情報に触れるうちに、ナオキさん自身も「ここからは下がるのではないか」「前回も高値の後に大きく下落した」と考えるようになります。

そんななかで知ったのが、相場が下落すると利益が出る仕組みの「インバース型商品」でした。

インバースとは、相場が下落した際に利益が出るよう設計された商品です。たとえば日経平均に逆相関するインバース型商品であれば、日経平均株価が下がるほど評価額が上がる仕組みです。

「下がると思っているんだから、こちらのほうが合理的ではないか」

そう考えたナオキさんは、日経平均に逆相関するインバース型投資信託に投資しました。

ところが、その後の相場はナオキさんの想定とは逆に動きます。

投資経験が浅かったナオキさんには、どの時点で損切りすべきか判断がつきません。

「いずれ下がるはずだ」と、損失を取り返すことに固執したナオキさんは、追加で買い増す、いわゆるナンピンを繰り返してしまいます。

その結果、評価損は次第に膨らんでいきました。

気づけば投資額は500万円を超え、評価損はこれまで得てきた利益をすべて溶かし、合計で100万円近くにまで達していました。

「このまま年を越すわけにはいかない」

そう決意したナオキさんは、大納会を前に、ついに損切りを実行。「生きた心地がしなかった」とナオキさんは振り返ります。

この経験を通じて、ナオキさんは強く心に誓いました。

「もう二度と、インバース型の投資信託には手を出さない」

成功体験の裏に潜んでいたリスクを、身をもって知ることになった瞬間でした。