日経平均株価は2024年2月22日に1989年12月30日の史上最高値(3万9,894円)を更新して以降、調整はありながらも足元では54,000円台を記録するなど、上昇を続けています。2024年1月からはじまった新NISAを機に投資をはじめた個人など、この上昇相場の恩恵を受けている人も多いのではないでしょうか。ただ、なかには大きな損失を出してしまい“トラウマ級の後悔”に見舞われた人もいるようです。定年後に株式投資をはじめた60代男性のケースをみていきましょう。
生きた心地がしなかった…退職金1,500万円の60歳男性〈日経平均・史上最高値更新〉の上昇相場でNISAを開設→運用益に気を良くした結果“トラウマ級”の後悔【CFPが警鐘】
“成功体験”に酔いしれるナオキさんの「次なる一手」
すっかり気を良くしたナオキさんは、定年後暇を持て余していたこともあり、YouTubeやSNSで投資情報をチェックするのが日課になっていたといいます。
そして2025年8月ごろ、日経平均株価が42,000円台に到達したタイミングで、NISA枠で保有していた投資信託を売却し、利益を確定させます。この成功体験が、ナオキさんの投資に対する見方を大きく変えることになりました。
そろそろ下落するはず…調整相場を予想して手を出した投資信託
利益確定を終えたころから、ナオキさんが目にするYouTubeやSNSでは「バブルではないか」「そろそろ調整が入るのでは」といった声が増え始めました。そうした情報に触れるうちに、ナオキさん自身も「ここからは下がるのではないか」「前回も高値の後に大きく下落した」と考えるようになります。
そんななかで知ったのが、相場が下落すると利益が出る仕組みの「インバース型商品」でした。
インバースとは、相場が下落した際に利益が出るよう設計された商品です。たとえば日経平均に逆相関するインバース型商品であれば、日経平均株価が下がるほど評価額が上がる仕組みです。
「下がると思っているんだから、こちらのほうが合理的ではないか」
そう考えたナオキさんは、日経平均に逆相関するインバース型投資信託に投資しました。
ところが、その後の相場はナオキさんの想定とは逆に動きます。
投資経験が浅かったナオキさんには、どの時点で損切りすべきか判断がつきません。
「いずれ下がるはずだ」と、損失を取り返すことに固執したナオキさんは、追加で買い増す、いわゆるナンピンを繰り返してしまいます。
その結果、評価損は次第に膨らんでいきました。
気づけば投資額は500万円を超え、評価損はこれまで得てきた利益をすべて溶かし、合計で100万円近くにまで達していました。
「このまま年を越すわけにはいかない」
そう決意したナオキさんは、大納会を前に、ついに損切りを実行。「生きた心地がしなかった」とナオキさんは振り返ります。
この経験を通じて、ナオキさんは強く心に誓いました。
「もう二度と、インバース型の投資信託には手を出さない」
成功体験の裏に潜んでいたリスクを、身をもって知ることになった瞬間でした。