フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは言葉のとおり、不機嫌な態度や言動を意図的または無意識にぶつけることで、相手に精神的な苦痛や圧力を与える行為を指します。この「フキハラ」について、配偶者からの被害に悩まされている人も少なくないようです。朝日新聞取材班による著書『ルポ 熟年離婚』(朝日新聞出版)より、年上妻のフキハラに怯える50代夫の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
妻に話しかけるときは「ごめんなさい」から入る…妻の「フキハラ」に怯える50代男性の“後悔の日々”【ルポ】
夫がみつけた“安息の地”
大学生の娘は2年ほど前から一人暮らしを始め、いま家には妻と男性の二人きりだ。
余計な「スイッチ」を入れないように、極力、距離を置くようにしている。言葉を交わすのは「おはよう」「ただいま」などのあいさつだけ。たまに妻へ話しかけるときは「ごめんなさい」から入り、敬語を使う。休日は朝早くから外出して、妻と顔を合わせないようにしているという。
妻が外の誰かに夫のことを話すときは「ヤツが」「ウチのバカが」と言っているようだ。男性のスマホの中には、妻と撮った写真が一枚もない。関係を良くすることはとうに諦めたが、離婚は考えていないと男性は言う。「世間体もありますし、離婚のほうがよっぽどめんどくさいですからね」
身体的な暴力を受けているわけではないし、表向きには夫婦の体裁を保っている。
「妻が不機嫌で……」。そんなことを周囲に相談する気は、これまで起きなかった。ただSNSをのぞいてみると、妻からの「フキハラ」に悩む夫たちの声がたくさんあった。
男性も妻について投稿し始めたところ、千人以上のフォロワーがつき、幾つも共感のコメントが寄せられた。
「妻にあたる夫、というのが世間のイメージだと思う。でも、その逆もあるんだということを、どれくらいの人が知っているでしょうか」
いま心からくつろげるのは、妻と顔を合わせずに済む出張のときなのだと、男性は話す。
朝日新聞取材班