厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けているそうです。定年後の生活で「相手の本性」を知ってしまうこともその原因のひとつかもしれません。朝日新聞取材班による著書『ルポ 熟年離婚』(朝日新聞出版)より、定年退職後の夫に失望した70代専業主婦の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
私、こんな人と結婚していたんだ…70代専業主婦、定年退職後の夫に失望。車の助手席で気づいた“夫の本性”【ルポ】
ついに爆発…妻が“人生で一番激しく怒った”日
だが、1年ほど前、積もり積もった不満が「爆発」した。けんかの原因は思い出せないくらい、ささいなことだったと思う。
リビングで、夫を「あんた」と呼び、「本当に大っ嫌い!」「なんでそんなに人の気持ちが分からないの!」と怒鳴った。人生で一番激しく怒った。
でも、夫は「お母さんが悪い」と考えを曲げなかった。けんかしたことを伝えた娘からは、こう言われた。
「お父さんが変わると期待してるから、お母さんは言っちゃう。でも、無駄だからね」
そうか、私は、夫が変わってくれるとまだ期待してたんだ。じゃあ、それを諦めよう――。何かが心の中で解けるような感じがした。1日の中で夫婦の会話は5分もない。イライラすることもなくなった。
「気持ちを分かって」と渡した小説
夫は「ただの同居人」だ。
昨年、図書館で一冊の本を手に取った。『定年オヤジ改造計画』(垣谷美雨、祥伝社)。定年退職した昭和世代の頭の固い男性の存在に、妻が体調を崩す姿が描かれていた。
夫に勧めると、読み始めた。ただ、自分に都合の悪いことが書いてあると思ったのか、すぐに読み進めるのをやめた。ドラマ化された際も「ドラマを見てね」と声をかけた。
私の気持ちを分かって――。まだどこかで夫に期待していたのかもしれない。今度は見てくれた。そして、夫は言った。
「このドラマは大げさだな」
「ただの同居人」との暮らしは、変わりそうにない。
朝日新聞取材班