トランプによる相互関税政策や歴史的な円安、地政学的リスクに異常気象など、予測不能な出来事が相次ぐ昨今。そんな先行き不透明な情勢のなか、投資家が株価の動きを予測する手法として重宝しているのが「テクニカル分析」です。15年間の証券会社勤務を経て、現在はJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の講師としても活動するCFPの倉橋孝博さんによれば、ひまわりやピラミッドにも見られる「黄金比」が、実は株価予測にも活用されているのだとか。その仕組みや考え方について、詳しくみていきましょう。
投資初心者は“これだけ”知っていれば大丈夫!? チャートで未来を読む「テクニカル分析」入門 (※画像はイメージです/PIXTA)

「移動平均線」を見れば、株価の「買い時・売り時」がわかる

 

テクニカル分析でよく用いられ、王道といわれるのが、「移動平均線」です。移動平均線とは、ある期間(5日、25日、75日など)の株価の平均値を線にしたもので、期間の異なる移動平均線の位置関係などから、今後の予測や転換点を判断します。

 

平均値なので大まかな方向性をとらえやすく、慣れてくれば「トレンド」や「買い時・売り時」などを判断する参考になります。

 

なお、ここでいうトレンドとは、移動平均線が右肩上がりのときを上昇トレンド、右肩下がりのときを下降トレンドといいます。これは初心者でもすぐに見分けがつくものです。上から順に5日線、25日線、75日線、200日線と位置しており、それぞれが右肩上がりであれば、“最強の上昇波動”といえます。

 

株価の「買い時」や「売り時」は、5日などの期間の短い移動平均線(以下、短期線)と25日などの期間の長い移動平均線(以下、長期線)の2つを使って分析することができます。

 

一般的に、短期線が長期線を下から上に突き抜けることを「ゴールデンクロス」といい、これが現れると上昇相場に入ったシグナルととらえることがあります。反対に、短期線が長期線を上から下に突き抜けることを「デッドクロス」といい、下降相場に入った可能性があると警戒されます。

 

短期的な相場展開を予測するときには5日や25日などの期間の短い移動平均線を、中長期的な予測の場合は75日や200日などの期間の長い移動平均線を利用します。

 

ただし、ゴールデンクロスやデッドクロスには「だまし」も多くあります。また株価チャートや移動平均線には複数の判別方法や考え方があるため、あくまでも参考として活用するのがよいでしょう。

 

さて、4万円を超えた日経平均株価。長期の移動平均線は右肩上がりですが、短期線は気迷い状態か……。小学生が育てたひまわりのように、大きく上昇して欲しいものです。

 

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

 

 

倉橋 孝博

株式会社くらはしFP事務所

代表取締役