だって…妻の言い分

「だって……そんなに責められる筋合いはないわ! あなたが貯金していると思っていたのよ。それに、あの金額で貯金するほど余るわけないじゃない」

由希子さんも、決して派手な贅沢をしていたわけではありません。しかし、友人とのランチに子どものための買い物、たまのご褒美など、たとえ月に数万円であっても、ゆるい浪費が続き、気づけばそれが「普通のこと」として定着していました。

高収入であるがゆえに「払えているから大丈夫」という感覚が続き、実際には収入に見合わない生活レベルを維持し続けていたのです。

双方に言い分があり、どちらか一方だけが悪いわけではありません。問題の本質は、浪費ではなく、家計管理について曖昧なままだったことです。

「高収入なのにお金が貯まらない家庭」の共通点

こうした家庭は、決してレアケースではありません。高収入なのにお金がたまらない家庭には、次のような共有点があります。

■支出の多さに自覚がない

払えてしまうがゆえに無自覚な消費も多く、また、キャッシュレス決済が主体のため、「いつなにに使ったか」の感覚が薄れがちです。

週末の外食や疲れた日のテイクアウトなど、ひとつひとつは小さくても、月単位で見れば数万円規模に膨れ上がります。日常のちょっとした支出こそ家計に影響を与えるのです。

■じわじわ増える固定費が積み重なる

教育費や通信費、サブスク料金の支払いなどは、一度契約すると見直す機会が少なく、気づかないうちに少しずつ合計額が増えていきます。そして、必要な支出であると思い込み、なかなか減らせないのが特徴です。

■夫婦でお金の話をしない

「妻が計画的に貯金していると思っていた」

「夫が管理していると思っていた」

「お金の話は揉めると思い、聞かないようにしていた」

「聞かれないから問題にないと思っていた」

こうしたすれ違いはよく起こります。

夫婦でお金の話をしない状態は「相手に任せている」のではなく、実際には「放置している」だけです。家計の実態がブラックボックス化し、気づいた時には手遅れになっていることも少なくありません。