国税庁「民間給与実態統計調査」(2024年)によると、2023年時点で年収1,000万円を超えている人の割合は約5.5%でした。では、その5.5%の人たちがみんな豊かな暮らしぶりかというと、どうもそうではないようです。世帯年収1,200万円・40代夫婦の事例をもとに、高所得世帯に潜む“思わぬ落とし穴”と、その解決策をみていきましょう。石川亜希子CFPが解説します。
毎月35万円も渡していたのに!?…手取り月71万円の42歳エリートサラリーマン、娘の教育費ピークを前に妻から告げられた「まさかの一言」【CFPが警告】
だって…妻の言い分
「だって……そんなに責められる筋合いはないわ! あなたが貯金していると思っていたのよ。それに、あの金額で貯金するほど余るわけないじゃない」
由希子さんも、決して派手な贅沢をしていたわけではありません。しかし、友人とのランチに子どものための買い物、たまのご褒美など、たとえ月に数万円であっても、ゆるい浪費が続き、気づけばそれが「普通のこと」として定着していました。
高収入であるがゆえに「払えているから大丈夫」という感覚が続き、実際には収入に見合わない生活レベルを維持し続けていたのです。
双方に言い分があり、どちらか一方だけが悪いわけではありません。問題の本質は、浪費ではなく、家計管理について曖昧なままだったことです。
「高収入なのにお金が貯まらない家庭」の共通点
こうした家庭は、決してレアケースではありません。高収入なのにお金がたまらない家庭には、次のような共有点があります。
■支出の多さに自覚がない
払えてしまうがゆえに無自覚な消費も多く、また、キャッシュレス決済が主体のため、「いつなにに使ったか」の感覚が薄れがちです。
週末の外食や疲れた日のテイクアウトなど、ひとつひとつは小さくても、月単位で見れば数万円規模に膨れ上がります。日常のちょっとした支出こそ家計に影響を与えるのです。
■じわじわ増える固定費が積み重なる
教育費や通信費、サブスク料金の支払いなどは、一度契約すると見直す機会が少なく、気づかないうちに少しずつ合計額が増えていきます。そして、必要な支出であると思い込み、なかなか減らせないのが特徴です。
■夫婦でお金の話をしない
「妻が計画的に貯金していると思っていた」
「夫が管理していると思っていた」
「お金の話は揉めると思い、聞かないようにしていた」
「聞かれないから問題にないと思っていた」
こうしたすれ違いはよく起こります。
夫婦でお金の話をしない状態は「相手に任せている」のではなく、実際には「放置している」だけです。家計の実態がブラックボックス化し、気づいた時には手遅れになっていることも少なくありません。