40歳にして年収は約1,200万円、2人の子どもに恵まれ、このたび“こだわりの注文住宅”を購入……そんな「幸せの絶頂」にいるはずの男性の顔は、なぜか憔悴しきっていました。彼の身にいったいなにがあったのでしょうか。とある夫婦の事例を通して、住宅購入時に知っておきたい「住宅ローン控除」の注意点をみていきましょう。山﨑裕佳子CFPが解説します。
注文住宅なんか建てるんじゃなかった…妻に言われるがまま「8,000万円の家」を建てた年収1,200万円・40歳サラリーマンの後悔
貸し出すと「住宅ローン控除」の対象外に…庄司さんの決断は
それは、「住宅ローン控除」です。住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の0.7%が所得税や住民税から還付される制度です。
控除限度額は建物区分により異なり、令和7年度については、子育て世帯・若者夫婦世帯の控除額が上乗せされており、控除上限額は5,000万円となります。
庄司さんが建築中の物件は認定住宅に該当するため、住宅ローン控除の適用を受けると、戻ってくる所得税の総額は約400万円となる計算です。
ところが、控除を受けるためには要件をすべて満たさなければなりません。
その要件のひとつに、完成から6ヵ月以内に自身が居住し、かつ、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していなければならないというものがあります。
つまり、住宅の完成後すぐに建物を貸し出すと、この特例は受けられなくなってしまうのです。
また仮に賃貸に出す場合、庄司さん自身は家賃の節約のため社宅に入居する予定です。社宅の家賃は4万円と格安ですが、1LDKの古い建物でした。
庄司さんが下した決断
こだわりの詰まった注文住宅を他人に貸して自分が社宅というのは、やはり悲しい気持ちになります。また、売却するにしても現状ではオーバーローンになりそうです。
こうして庄司さんは、新居に住む決断を下しました。なるべく早く負債を減らすため、住宅ローン控除を活用して所得税の減額分を繰上げ返済にあてるつもりです。
一人暮らしにはやや広すぎる新居ですが、いまはこれが最善の選択だと思っています。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表
![[図表]令和7年新築住宅の控除限度額および控除期間](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/540mw/img_dfd8abdb2036a1d6314ce82f197b743594586.jpg)