海外を旅する中で、信頼できる日本製品を通して日本人に対してリスペクトの気持ちを伝えてくれる場面がある。しかし、それはこの先も続くのだろうか――。本記事では、30歳目前でサラリーマン生活に終止符を打ち、現在は世界を旅しながら2児を育てる森翔吾氏の著書『すべては「旅」からはじまった 世界を回って辿り着いた豊かなローコストライフ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編。ドバイでの体験を通して仕事と未来について考えていきます。
ドバイのタクシー90%がトヨタ「走行100万キロでも壊れない」…日本製品に対する〈深い信頼〉の行方
子どもの時代まで誇れる仕事をしたい
それから数日後のことだ。ドバイの街中で「Are you Japanese?」と、サウジアラビア人に声をかけられた。「そうです」と答えると、握手を求められ、連絡先を教えてくれて、「何か困ったことがあったら、いつでも電話して」と言われた。
その人は、美しく磨き上げられた2004年モデルの「日産スカイラインGT-R」に乗っていた。今では、日本でもなかなかお目にかかれない名車を探して買うのだから、相当な車好きなのだろう。記念に写真を撮らせてもらった。日本製品を愛し、日本人までリスペクトしてくれる真摯な態度に、心を打たれた瞬間だった。
格差社会のドバイだが、日本人はどこに行ってもリスペクトをもって迎えられる。それは、日本の経済成長を担ってきた先輩たちが、信頼される仕事をしてきたからにほかならない。
トヨタ車はタクシーに使われている「カムリ」だけでなく、「ランドクルーザー」も人気で、1分に1台は見かける。三菱のエレベーターやTOTOのトイレ、ダイキンのエアコンなど、あらゆるところに日本製品が溢れていて、現地人も、出稼ぎに来ている人たちも、「日本製が一番だ」と言う。ありがたいことだと思う。
自分の子どもたちの時代まで、「日本製が一番だ」と言ってもらえる仕事ができるだろうか。最近、そんなことをよく考える。
森 翔吾