子どもの時代まで誇れる仕事をしたい

それから数日後のことだ。ドバイの街中で「Are you Japanese?」と、サウジアラビア人に声をかけられた。「そうです」と答えると、握手を求められ、連絡先を教えてくれて、「何か困ったことがあったら、いつでも電話して」と言われた。

その人は、美しく磨き上げられた2004年モデルの「日産スカイラインGT-R」に乗っていた。今では、日本でもなかなかお目にかかれない名車を探して買うのだから、相当な車好きなのだろう。記念に写真を撮らせてもらった。日本製品を愛し、日本人までリスペクトしてくれる真摯な態度に、心を打たれた瞬間だった。

格差社会のドバイだが、日本人はどこに行ってもリスペクトをもって迎えられる。それは、日本の経済成長を担ってきた先輩たちが、信頼される仕事をしてきたからにほかならない。

トヨタ車はタクシーに使われている「カムリ」だけでなく、「ランドクルーザー」も人気で、1分に1台は見かける。三菱のエレベーターやTOTOのトイレ、ダイキンのエアコンなど、あらゆるところに日本製品が溢れていて、現地人も、出稼ぎに来ている人たちも、「日本製が一番だ」と言う。ありがたいことだと思う。

自分の子どもたちの時代まで、「日本製が一番だ」と言ってもらえる仕事ができるだろうか。最近、そんなことをよく考える。

森 翔吾