「退職金」は一度にまとまった資金が手に入ることから、その使い道が老後の人生を大きく左右します。なかには、普段の人柄からは想像もつかないような“大胆な行動”を起こした結果、取り返しのつかない大惨事に発展するケースも……。真面目な元公務員男性の事例をもとに、詳しくみていきましょう。元証券マンの倉橋孝博CFPが解説します。※プライバシー保護のため、個人情報の一部を変更しています。

(※写真はイメージです/PIXTA)
どうか夢であってくれ…38年間ひたすら真面目に働いた61歳・元公務員「退職金2,500万円」を定年後“わずか1年”で失ったワケ【CFPの助言】
Aさんの「その後」
「こ、これは夢か? 夢、だよな。たのむ、夢であってくれ……」
あまりに一瞬のできごとに、Aさんはしばらく現実を受け入れられなかったそうだ。38年間の努力の結晶である「退職金」の大半を、わずか1年で失ってしまったのだから無理もない。
資産運用は「長期投資」が基本
資産運用は20年以上の長期投資が基本だ。なんのための資産運用なのか目的を明確にしなければならない。また、信用取引は大きな利益を期待できる分、損失を出すと自己資金以上の大きなダメージを被ることになる。
信用取引をするのであれば、Aさんのように担保がほとんどなくなってしまう可能性があるということを忘れないでほしい。
「退職金のほとんどが消えてなくなってしまいました。65歳まで嘱託で働き、その後は残った退職金と1,500万円の預貯金で細々と生活します……」
肩を落とすAさんにかける言葉が見つからなかった。
倉橋 孝博
株式会社くらはしFP事務所
代表取締役