いますぐお金を捨てたいくらい…FPに打ち明けた「悲痛な胸の内」

数日後、東山さんはFPのオフィスを訪れ、自身の悲痛な胸の内を打ち明けました。

「私はこれまで、質素・倹約の人生でした。贅沢はせず、趣味もなく、ただお金を貯めることだけを考えて生きてきました。だからですかね、貯金が減ることが怖くてたまらないんです。働こうと思っても続かないし、なにか新しいことをしようとしても、お金が減るのが嫌で結局できない……もうストレスでどうにかなりそうです!」

いままで誰にも言えなかった不安や焦燥感が、次から次へと溢れます。

「できることなら、いますぐにでもお金を捨てたいですよ。残高が減るたびにストレスを感じるくらいなら、いっそのことすべて失ってしまえば楽になるのかなって。まあ、そんなことは絶対にできませんがね」

それを聞いたFPは微笑みながらこう答えました。

「これまで築いてきた大事な資産が目減りすることは、誰しも抵抗を感じるものです。実のところ、東山さんのような相談は意外と多いんですよ」

「多くの人は、お金が尽きる未来に漠然とした恐怖心を抱いています。しかし、具体的にどれくらいのペースで資産が減るのかを把握している人は少ないんです。そこで、将来の資金の推移を可視化することで、東山さんの不安はいくらか軽減できると思います」

90歳時点でいくら残る?シミュレーションで判明した「衝撃の残高」

FPは早速、東山さんの現在の資産状況や今後の年金収入、毎月の生活費、さらには医療費や自宅の修繕費など、突発的な支出の可能性も考慮しながら、90歳までの資金推移をシミュレーションしました。

シミュレーションの結果が出ると、東山さんは画面を見つめながら驚きの表情を浮かべました。

「……え? こんなに残るんですか?」

なんと、このままの生活を続けた場合、低く見積もっても90歳時点で6,000万円もの資金が残ることがわかったのです。