「お金」や「制度」の使い方に関する知識があるかないかで、負担の軽減度合いは大きく変わります。介護ジャーナリストの太田差惠子氏と芸人の安藤なつ氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、介護を考えるうえで知っておきたいサポートや、注意しなければならない点について詳しく解説します。
夫婦で年金月22万円だったが…夫の死によって妻が受け取れる“衝撃の遺族年金額”【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】
母が1人残されたら年金はいくら?
□厚生年金を受給している親が亡くなったら、遺された親は遺族年金を受給できる場合が多い
□国民年金のみを受給している親が亡くなっても、遺族年金は給付されない
安藤:もし、母親が専業主婦で国民年金だった場合、父親が亡くなっても年金で暮らしていけるのでしょうか。
太田:親世代は母親が年下であることが多く、女性のほうが長寿ですから、父親が先に亡くなるケースが多いですね。両親は2人分の年金で暮らしていますが、1人になったからといって生活費が半分になるわけではありませんから、多くの人が生活は厳しくなるでしょう。
安藤:遺族年金がもらえると聞きました。
太田:父親が加入していた年金によって異なります。厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金が支給されますが、国民年金に加入の親なら、遺族基礎年金は支払われません。自営業者などで国民年金だったケースでは、母親は自分の国民年金だけで暮らすことになります。
安藤:それはキビシイ! 厚生年金の場合も、父親がもらっていた全額をもらえるわけではないんですよね。
太田:そうですね。厚生年金部分の4分の3ですから、父親が亡くなった後、母親が1人になると受給額は6割程度になる人が多いようです。
安藤:え~、でも4分の3だったらもう少しもらえるのではありませんか。
太田:誤解が多い点なので図表2をもとに、詳しくお話ししますね。
父親は厚生年金に加入していましたが、その内訳を見るとすべての人が加入している国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)部分に分けられます。遺族年金の対象になるのは厚生年金部分のみ。
ですから、受給額は父親の厚生年金約9万円の4分の3=約6.75万円と自分の国民年金=約6.5万円の合計で約13.25万円となるのです。
安藤:この金額だと施設へ入るのは難しいですね。
太田:ただ、父親と死別して再婚していなければ「寡婦」となって、申告をすれば寡婦控除を受けることができ、住民税非課税世帯になる可能性が高いです。そうすると医療費と介護費がぐっと安くなりますから、手続きができているかを確認してみてください。
安藤 なつ
メイプル超合金
ヘルパー2級(介護職員初任者研修)
太田 差惠子
介護・暮らしジャーナリスト
