近年、学校現場でも「多様性」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。これは、生徒一人ひとりが異なる価値観、文化、背景を持つことを認め、尊重するという考え方です。しかし、この多様性を尊重するという理念が、必ずしもスムーズに学校現場に浸透しているわけではありません。多様性を受け入れることを「強要される」という状況も生まれ、生徒と教師がともに疲弊していくという状況もあるようです。本記事では、公立中学校教師のAさんの事例とともに、令和の学級崩壊について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
手取り月45万円、59歳・経験豊富な「公立中学校教師」が虚無感を覚えた「静かな学級崩壊」【社会保険労務士が解説】
賃金では諮れない教育現場
Aさんの勤めている中学校教員の昇給モデルで20年後の平均年収は約740万円です。手取りが月約45万円だとしても心が折れそうになるのは変わりません。むしろ定年を前に早期退職したほうが気が楽かもとつい考えてしまいます。
仮に新任の先生が同じ事案に遭遇した場合、どのような対応をするのでしょうか。社会人になったばかりの先生が、責任感として一人抱え込んでしまうことも考えられます。給与の問題ではないかもしれません。
集団の中での「多様性」とのジレンマ
少子化や核家族化、SNSの普及など、多様な人と出会うことなく社会に出る人や親になる人もいます。人との関わりが希薄になっている世代が増えつつあるなか、多様な人間関係を学ぶ学校ではコミュニケーションを大切に、教員同士・保護者と連携し、学校というチームでの対応が必要ではないでしょうか。
参考
文部科学省:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
https://www.mext.go.jp/content/20230524-mext-tokubetu01-000026255_01.pdf
横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/bosyusaiyou/seiki/kyouinsaiyou/kyuyo-kyuka.html
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表