生涯未婚率は年々上昇を続け、昨年は男性が28.25%、女性が17.85%となりました。結婚せずに独身を謳歌するこうした“独身貴族”は、好きなようにお金を使える反面、将来への見通しが甘く、ひょんなきっかけで「破産危機」に陥るケースも少なくありません。50代サラリーマンTさんの事例をみていきましょう。FP事務所ストラット代表の伊豫田誠氏が解説します。
Jeepを乗り回してゴルフ三昧…年収650万円の“見栄っ張り”な50代サラリーマン「時間は金で買う」と強気だったが…節約に目覚めた“金欠ではない”理由【FPの助言】
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入院先の病院で目にした「衝撃の光景」
「2型糖尿病」とは、血液中のブドウ糖が正常より多くなる病気です。もともと持っている体質のほか、脂肪の多い食事や高カロリーな食事、運動不足が原因とされ、適切に管理しないと心血管疾患や腎症、神経障害、網膜症など、さまざまな合併症を引き起こします。
Tさんが診断を受けた病院の教育入院プログラムは2週間と長く、毎週行っていたゴルフもキャンセルするハメに。
「最悪だ……」陰鬱な気持ちで教育入院をスタートさせたTさん。しかし、Tさんは入院を経て“改心”しました。
その理由は、入院中に目にした同じ糖尿病患者の姿でした。糖尿病の合併症である神経障害や血管障害の影響で組織が腐り足が壊疽(えそ)している人や、網膜症にかかり失明している人。また、高齢の患者には、疲れた顔をした家族やヘルパーさんが付き添っています。
決して生活習慣だけが原因ではないものの、「このまま好きに暮らしていたら、自分もこうなるかもしれない……」と、Tさんはようやく我に返りました。
また、教育入院が長期だったこともあり、約15万円の費用がかかりました。
「糖尿病が悪化したら、これ以上の金額を負担することになるのか」Tさんはこれまでの暴飲暴食を反省。「貯金はほとんどないし、いまはまだ働いているからいいけれど、病気が悪化したら医療費が払えない」「介護が必要になっても、親はもう高齢だし、外注するしかないよな。そうするとさらにお金が要るじゃないか……」
急に将来が不安になったTさん。病院から帰るなり、月々の収支を書き出してみることにしました。Tさんは長いあいだ、「どうせ1人だからお金の管理をする必要はない」と、月々の収支を把握せずに過ごしてきましたが、その内訳に開いた口が塞がりません。
書き出してはじめてわかった「驚きの支出額」
〈Tさんの生活費の内訳〉
・食費……6万円
・住居費……10万円
・自動車ローン……8万円
・水道光熱費……2万円
・衣料費……1万円
・生命(医療)保険……3万円
・自動車保険……0.7万円
・交通・通信費……3.3万円
・雑費……1万円
・娯楽費……10万円
合計:45万円
年収650万円の月々の手取りは41万円ほどであり、毎月4万円の赤字です。ボーナスまで毎月食いつぶしていることになります。
「これはダメだ……悩むより専門家に相談しよう」と考えたTさんは、知り合いのファイナンシャルプランナーに相談することにしました。