昨今、空港は深刻な人手不足に悩まされています。空港の地上業務を行うグランドスタッフの数は、国土交通省のデータ(※)によると、新型コロナウイルス拡大以前と比べて約1~2️割減少しています。空港は24時間体制で安全かつ万全なサービスを求められるため、スタッフの負担が大きいことも課題として指摘されています。一方で、海外旅行客によるインバウンド需要や国内旅行客数は高まっています。スタッフの業務負担を減らし、ツーリストを快適な空の旅へと誘う、空港での活躍が期待されるテクノロジーを紹介します。※参照:我が国の航空をとりまく現状|国土交通省 https://www.mlit.go.jp/koku/content/001614477.pdf
空港の手荷物検査をAIでスマートに。空の旅をもっと安全に、楽しくするテクノロジー (※写真はイメージです/PIXTA)

空港の警備業務を、四足歩行のAIロボットが代替

 

日本アイ・ビー・エムとロボット販売を行う東北エンタープライズは、AI搭載ロボット「SpotⓇ」の実証実験(2024年1~2月)を愛知県・中部国際空港で行いました。

 

空港は24時間万全な警備体制を敷くことが必須であるにもかかわらず、警備員は天候・気温の影響を受ける厳しい労働環境にさらされます。中部国際空港では、警備の人材不足が深刻化。そんななか本実験は「警備業務の一部を、AIロボが代替することは可能かどうか」を調査するために実施されました。

 

実験が行われたのは、中部国際空港島の西側護岸、北側場周フェンス、駐車場連絡通路など。このエリアは「設備の破損・劣化や不審者」「護岸に接近する船舶」「鳥類」などの確認が不可欠です。

 

主役となるAI搭載ロボットSpotⓇは米国ボストン・ダイナミクス社製、東北エンタープライズの提供です。最大時速は5.75キロメートル。搭載されているカメラが周囲を撮影し3Dマップを作成することで、周囲の障害物を認識しながら自動走行することができます。路面状況をリアルタイムで把握し、柔軟に姿勢制御を行う機能や、階段の昇降機能などが備わっており、遠隔管制も可能です。

 

実験中のSpotⓇは、空港敷地内で不審者役のスタッフを見つけると「関係者以外は速やかに立ち退いてください」と警告したり、搭載される8個のカメラで360度防犯用の撮影をしたりと活躍。現在は本実験データをもとに検証を続けており、実用化が期待されます。

 

日本アイ・ビー・エムはSpotⓇへの期待として「警備業務の省人化のみならず、高度化、労務環境の改善」と語っています。

 

参照:「SpotⓇ」|東北エンタープライズ

https://spot-teco.jp/

空港や旅先の観光地で“即戦力”となるであろうAIテクノロジー

空港をもっと安全に、楽しい場所にするためにAIを活用したさまざまな試みが実施されています。空港のみならず、全国の観光地でもAIは頼もしい“即戦力”となっていくでしょう。今後どのような最新テクノロジーが実用化されていくのか、目が離せません。

 

 

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<プロフィール>

カワハタユウタロウ

フリーライター。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、Eコマース・通販関連業界紙の編集部に約7年間所属。その後、新聞社系エンタメニュースサイトの編集部で記者として活動。2017年からフリーランスのライターとして、エンタメ、飲食、企業ブランディングなどの分野で活動中