Web広告などを見ていると、健康食品やサプリメント等の宣伝で「本当にそんな効果が出るの?」と疑ってしまうような文言を見かけることがあります。そういった怪しい表示に騙されないようにするためには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。そこで本記事では、京都大学大学院医学研究科健康増進・行動学分野准教授の田近亜蘭氏による著書『その医療情報は本当か』(集英社)から一部抜粋し、医療や健康に関する情報の広告を規制する「健康増進法」と「景品表示法」について解説します。
「3ヵ月で〇キログラム痩せます!」…それって本当?ネットで見かける医療・健康関連の〈怪しい広告〉の真偽を見破るために知っておきたい法律【京大大学院准教授が解説】
著しく優れている・有利性をうたう表示は禁止
もうひとつ、「景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)」(1962年施行。現在の所管は消費者庁)、略して「景表法」という、健康食品やサプリメントの表示規制が規定されている法律を紹介しておきます。同法は一般消費者の保護を目的に制定され、不当な表示には次の3つがあるとしています。
それは、たとえば「このダイエット食品は痩身効果がすごい」 と広告するなど、商品やサービスの品質、規格などの内容が著しく優良だとする「優良誤認表示」、「歯列矯正○○円」として実際には矯正装置の費用が別途必要なことを記さないなど、価格を著しく安く有利に見せかける「有利誤認表示」「誤認されるおそれがある表示」です。
景表法による表示規制により、医療広告の規制と同様に、うその表示はもちろん、お得感を訴えながらも実際には得ではないといった、「期間限定割引をうたいながら期間後も同じ価格だった」とか、「小さな文字による注意書き」なども不当表示となります。
消費者庁の公式ウェブサイト『事例でわかる景品表示法 不当景品類及び不当表示防止法 ガイドブック』では、事例や実際にあった違反などが掲載されています。読めば読むほどに、わたしも「こんな表示、あるある~」と思っています。
また、昨今の機能性表示食品を巡る社会問題を受けて、機能性食品制度の一部改正が2024年9月から順次実施されています。
気になる健康食品やサプリメントの説明書、また広告の表示で違和感を覚えることもあるでしょう。一般消費者が信じやすい表示や広告をする商品には、心理学で説明できる仕掛けが意図的に施されている場合が多いのです。その仕掛けについては第十一章で紹介します。
医療や健康に関する情報を「広告」するには、さまざまな法律による規制があります。医療機関や商品を販売するメーカー、医師、事業主らが自由に宣伝できるわけではありません。
医療広告も含め、まぎらわしい表現だなあ、いいことばかり書いてあるけれど本当かなあ、価格がえらく安いなあ、などと思った場合はいったん冷静になり、信頼する人に相談するなど再考してください。
田近 亜蘭
京都大学大学院
医学研究科健康増進・行動学分野准教授