毎日飲むという人も多いコーヒー。世界中で大量に消費されています。いま、そんなコーヒーの代替品が次々に開発されていることをご存じでしょうか? 今回は、コーヒーの代替品が求められている理由とともに、代替コーヒーの進化ぶりをみていきます。
世界で1日に20億杯飲まれるコーヒー…代替品の登場?あなたが飲む日も近づいている (※写真はイメージです/PIXTA)

 ※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

熱帯林の伐採につながるコーヒー生産、「コーヒーの2050問題」も…

朝起きたときや気分転換をしたいときなど、さまざまな場面で親しまれているコーヒー。現在、世界中で一日約20億杯のコーヒーが消費されており、コーヒー豆を輸入に頼る日本でも、一人あたり一日約1杯弱のコーヒーが飲まれているといわれています。

 

しかし、コーヒーによる環境への負荷は、決して小さなものではありません。1本のコーヒーの木からは、約40杯分しか採れないため、世界の供給を満たすには多くの木が必要です。現状、多くの地域でプランテーションにおけるコーヒー生産が行われていますが、熱帯林の伐採や動植物の消失といった環境問題が指摘されています。

 

また、最近ではコーヒーの2050年問題も取り沙汰されています。熱帯林の伐採などで地球温暖化が進むと、コーヒー栽培に適した土地が大幅に減少することが懸念されているのです。コーヒー豆の安定供給が難しくなれば、これまでのように気軽に飲むことができなくなるかもしれません。

 

こうした背景もあり、現在、さまざまな企業が最新テクノロジーや食品科学を駆使し、コーヒーに代わる製品を続々と開発しています。そこで今回は、コーヒー豆を使わない代替コーヒーに取り組む企業をご紹介します。

農業廃棄物を活用した「ビーンレスコーヒー」が日本に初上陸

「ビーンレスコーヒー」が日本初上陸(提供:ATOMO COFFEE, INC.)
「ビーンレスコーヒー」が日本初上陸(提供:ATOMO COFFEE, INC.)

 

これまで代替コーヒーといえば、もっとも有名なたんぽぽコーヒーをはじめ、玄米コーヒーや大豆コーヒーなどが登場していました。しかし、どれもコーヒーの風味が弱く、カフェインも含まれないため、飲みごたえに物足りなさを感じたという意見も少なくありません。

 

世界中で代替コーヒーの開発が進むなか、米国のスタートアップ・ATOMO COFFEE(アトモ・コーヒー)は、デーツ種子などの農業廃棄物を活用した「ビーンレスコーヒー」を発表。コーヒー豆の分子構造を分析して原料を組み合わせ、緑茶由来のカフェインを含有することで、本物のコーヒーに近い味わいを再現。2024年8月には、日本に初進出して、大きな話題になりました。

代替食品を開発するスタートアップも、“代替コーヒー”に参入

ビーンフリーコーヒー(提供:Voyage Foods)
ビーンフリーコーヒー(提供:Voyage Foods)

 

また、「ナッツフリースプレッド」や「カカオフリーチョコレート」など、サステナブルな代替食品を開発してきた米国のスタートアップ・Voyage Foods(ボヤージ・フーズ)も、代替コーヒーに参入。同社の4つ目の製品として、2024年7月に、コーヒー豆を使用しない「ビーンフリーコーヒー」が発表されました。

 

同社のビーンフリーコーヒーは、焙煎したひよこ豆、米のもみ殻、水を原料に、緑茶由来のカフェインを配合。従来のコーヒーと同等のカフェイン含有量なので、いつもと同じ感覚でコーヒーの味を楽しめます。現在、焙煎やリキッド、インスタント、ノンカフェインなど、さまざまなタイプを本国で展開中です。

 

欧米のスタートアップが注目を浴びるなか、アジアでも代替コーヒーの開発が進んでいます。シンガポールのスタートアップ・Prefer(プリファー)は、発酵技術を活用した代替コーヒーを開発。おからやビール粕、廃棄パンなど、地元の食品産業から出る廃棄物を利用して、サステナブルな製品開発に取り組んでいます。