プレイヤーの感情をリアルタイムで反映、インタラクティブなゲーム体験が楽しめる
スイス発のテック企業・OVOMIND(オボマインド)は、機械学習と独自のアルゴリズム解析による「リアルタイム感情推定システム」を開発。クラウドベースAI技術を駆使し、生体データをもとにユーザーの感情をリアルタイムで推定するもので、人間の感情の変化に応じて動作するアプリケーション開発に取り組んでいます。
今年9月に行われた「東京ゲームショウ2024」では、特許技術を使ったサバイバルホラーゲーム「Dead Shadow」を展示。同ゲームでは、プレイヤーが装着したスマートバンドのセンサーから、皮膚温度や心拍数、微弱な電流などの生体データを自動収集。AIがそれらのデータをもとに感情を分析し、ゲーム内のストーリーやアクション、キャラクターにリアルタイムで反映させます。
また、興奮やストレス、不安、恐怖、喜びなど、プレイヤーの感情をヒートマップに変換。感情を可視化することで、プレイヤーが各シーンでどのような感情を抱いていたかが一目でわかるため、ゲーム開発者のコンテンツ制作にも応用可能です。今後は、同技術により、圧倒的な没入感のあるコンテンツの登場が期待できそうです。
ライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」、ツーリングの楽しさを助長
輸送用機器メーカーのヤマハ発動機は、横浜国立大学の島圭介教授、センサーデータ事業を手がけるミルウスとの共同研究で、ライダーの感情を可視化する「感情センシングアプリ」を開発。体に装着したベルト型センサーで心電データを取得し、生成AIがライダーの感情を推定。データをスマートフォンに送信し、地図上に表示するアプリケーションです。
推定された感情は地図上にプロットされ、ツーリング先のビューポイントで得られた感動や喜び、渋滞など交通環境での緊張やイライラ、眠気などを時系列でフィードバック。製品化が実現すれば、ライダーにとって、ツーリングの楽しさを助長してくれるほか、走行ルートと感情の変化を客観的に振り返ることで、安全運転のサポートも期待できそうです。
感情分析AIの今後…精度向上やプライバシー保護などの課題解決が求められる
感情分析AIは、多岐にわたる業種やシーンでの活用が見込まれています。しかし、音声や表情のとらえ方は文化や個人で異なるため、安定した結果が得られないという課題や、感情データの収集によるプライバシー侵害といった問題も。今後は、精度向上やリスク回避の技術的アプローチ、倫理的なガイドラインの策定などが求められています。
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文/渡邊晃子
フリーライター。1983年生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て、2010年からフリーランスのライターとして活動。WEB媒体を中心に、エンタメ、ライフスタイル、テック、子育てなどの分野で執筆を行う。