コンテンツを自ら生成する能力を持ち、さまざまな分野で活用されている生成AI。最近では、人間の感情や気持ちの変化を認識する「感情分析AI」の開発が進み、ビジネスはもちろん、医療や教育、エンタメなどのシーンで実用化され始めています。また、今年5月には、AIチャットサービス「ChatGPT」を運営する米・OpenAIが、生成AIの最新モデル「GPT-4o」をリリース。テキストや音声、画像、映像を認識する能力が格段に向上し、より自然で流ちょうな会話が可能になりました。人間と同じように感情豊かに話すGPT-4oの登場で、より注目度が高まっている感情分析AI。そこで今回は、音声や生体データなどから、人間の感情や気持ちの変化を読み取る生成AIのツール事例をご紹介します。
話題の「感情分析AI」とは?接客での円滑なコミュニケーションやエンタメにも活用 (※写真はイメージです/PIXTA)

 ※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

感情がわかりにくいオンラインカウンセリング…「気分推定モデル」で気分を数値化

オンラインカウンセリングにおける気分推定モデルの模式図(提供:コーセー)
オンラインカウンセリングにおける気分推定モデルの模式図(提供:コーセー)

 

化粧品メーカーのコーセーは2024年9月、関西大学の瀬島吉裕教授との共同研究で、オンラインカウンセリングにおいて顧客の気分を推定する数理モデル「気分推定モデル」を開発したことを発表しました。カウンセリング中の音声から、感情の変化をリアルタイムで察知し、顧客一人ひとりに寄り添ったサービスの提供を目的としています。

 

周囲を気にせずカウンセリングが受けられる一方、画面越しでは感情の機微を読み取るのが難しかったオンラインカウンセリング。気分推定モデルでは、顧客とビューティーコンサルタントの対話の雰囲気を、仮想的な温度空間としてモデル化。対話のやり取りが、熱の出入りに対応し、気分の上がり下がりを推定する仕組みです。

 

同研究では、20代~40代の男女15人を対象に、スキンケアに関するオンラインカウンセリングを実施。カウンセリングの録画を観ながら、そのときの主観的な気分を評価してもらったところ、「気分推定モデル」との高い一致度を示す結果が得られました。今後は、オンラインに限らず、あらゆる接客シーンで活用することを視野に入れています。

デジタルワーカーとして多様な接客ニーズに対応する「接客オンデマンドAI」

接客オンデマンドAI(提供:ビーモーション)
接客オンデマンドAI(提供:ビーモーション)

 

オンライン接客サービス「接客オンデマンド」を提供するビーモーションは今年2月、対話型生成AIチャット「接客オンデマンドAI」をリリース。大規模言語モデル(LLM)の技術を活かし、独自のプロンプト生成アルゴリズムによる高い推論力と回答精度で、自然な対話が実現。チャットボットタイプに加え、人間のような仕草で話すAIアバターも利用できます。

 

GPT(OpenAI API)連携により、固有の知識や専門用語を学習するだけでなく、OpenAIの学習データも活用可能。口調や言語を調整することができるなど、対話バリエーションも豊富です。顧客の質問に対して決まった返答をするのではなく、高いスキルを持った対面レベルの接客をすることができるため、優秀なデジタルワーカーとしての活躍が期待されています。

 

スムーズな接客かつ24時間365日対応可能な接客オンデマンドAI。実店舗での接客やインサイドセールスでの顧客対応を自動化・無人化できれば、人手不足の解消やコスト削減にもつながります。さらに、インバウンド需要が高まっている今、言語の壁を越えた対話ができる生成AIチャットは、幅広いシーンで活用できそうです。