新NISAの“あまり話題にならない”デメリット

利益に税金がかかる特定口座で、A銘柄とB銘柄を運用していたとします。

それぞれを売却した際、A銘柄は40万円の利益、B銘柄は20万円の損失が発生しました。この場合、2つの銘柄の損益を合算した際の利益20万円にのみ課税することができるため、その分だけ税金を減らすことができます。

これを損益通算と言いますが、特定口座(源泉徴収あり)なら、証券会社が合計の損益を自動で計算し、すでに支払った税金も戻ってきます

しかし残念なことに、損益通算はNISA口座では利用できません

なぜなら、NISA口座において利益はなかったものとして非課税になりますが、損失もなかったものとしてみなされるからです。

そのため、今度は特定口座で運用しているA銘柄、新NISA口座で運用しているB銘柄があったとします。

先ほどと同様に、A銘柄は40万円の利益、B銘柄は20万円の損失が発生すると、2つの銘柄で損益通算はできず、A銘柄の利益40万円がそのまま課税対象となります。

両銘柄とも特定口座で運用していれば、損益通算できて税金を減らすことができました。

しかし片方の銘柄を新NISA口座で運用していたばかりに損益通算ができなかったので、新NISA口座で損失が出ると逆にデメリットになってしまうのです。

ただし、ここまでお話ししてきた通り、新NISAでの運用は長期での値上がり益を目指すのが基本方針であり、インデックス投資で長く運用していれば利益は期待できます。

なので、新NISA口座で損失が出ることは、あまり心配しすぎなくてもいいでしょう。

しかし、NISA制度はけっしてメリットばかりではなく、このようなデメリットがあることは覚えておきましょう。

※複数の証券会社の特定口座で損益通算する際は、確定申告が必要 ※ NISA口座では繰越控除(その年の損失を、最長3年間にわたって利益と合算できる制度)も同様に利用不可
[図表2]損益通算について知っておこう ※複数の証券会社の特定口座で損益通算する際は、確定申告が必要
※ NISA口座では繰越控除(その年の損失を、最長3年間にわたって利益と合算できる制度)も同様に利用不可
出所:『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)より抜粋

小林亮平

資産運用YouTuber