ゴミ屋敷を再訪…筆者が驚いた住人の“意外な素顔”

挨拶に行きたくない気持ちはあるものの、連絡を取らないままにしておくわけにはいきませんので、その週の日曜日に再度ゴミ屋敷を訪問しました。

ドキドキしながらインターフォンを押せば、今度はすぐに「はい」とのお返事がありました。

「お忙しい中すみません、平田と申します。お隣の〇〇様の測量の件でご挨拶に伺いました」

「はい、どうぞお入りください」

あれ? 失礼かもしれませんが、ごくごく普通の、いや、むしろ丁寧な対応。ちょっと面食らってしまいました。

境界の立会いにも快く応じてもらうことができ、事なきを得ました。

ゴミ屋敷の家主さんは、50〜60代くらいの男性でした。聞くところによれば、独身で、町工場で職人として働いているそうです。お仕事はかなりお忙しいようで、朝早くから夜遅くまで働き、深夜に帰宅することが多いのだとか。

お話の節々からは、とても真面目な方という印象を受けました。

ひとつ気になったことと言えば、会話の中で少しでも話が途切れると、間髪を入れずに別の話題を出してくるところでしょうか。頭の回転の速い方なのだろうと思うと同時に、「この人は、きっと『間』が怖いのだな」と感じたのです。

なんらかの理由で心に余裕がないと、徐々に家にも間がなくなっていくことがあります家の中が散らかっていても気にならないどころか、むしろ多少ごちゃごちゃしているほうが落ち着くという人がいますが、これも間を恐れる心理から来ているのかもしれません

そう考えると、ゴミ屋敷にしてしまう素質は、実は多くの人が持っているのではないかと思いました。

「これくらいならいいか」が積もり積もって、気がついたら身動きが取れなくなっていた……なんて、いかにもありそうですよね。忙しい人は特に要注意かもしれません。
 

平田 真義
土地家屋調査士