アイデアをひらめく脳はどうやったら作れるのでしょう? AIが本格的に活用されるこれからの時代、個々人のアイデア力が一層求められるのは間違いありません。アイデア力を高める習慣について「働き方改革プロジェクトアドバイザー」坂本崇博氏の著書『仕事のアップデート100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
「人名」「地名」を調べる習慣が「アンテナ脳」を作る
脳のアンテナを鍛えるために有効なテクニックの1つが、脳をだましてドーパミンを分泌させる習慣を作ることです。ドーパミンとは脳内物質の1つで、何かを成し遂げた時に感じる興奮状態の原因でもあります。
つまり何かを成し遂げるとドーパミンが分泌され、脳が快楽を感じるのです。それを覚えると脳がもっとドーパミンを欲しがり、その成し遂げたことをもっと繰り返そうと考えるようになり、これによって人のやる気が引き起こされるようになります。つまり脳が無意識に、その行為を好んで行うようになるのです。これを使ってうまく条件づけを行うことで、脳が無意識のうちにさまざまな情報にアンテナを張る事ができるようになります。
では、脳が勝手にアンテナを張るようにするためにはどうすればいいのかというと、いわゆるトリビアを知ることが有効だと明らかになっています。人間は、どうでもいいことであったとしても「新たな知識を得る」ことで快感を得られる、つまりドーパミンが分泌される生き物なのです。
日常的に身の回りのトリビアを調べ、快感を得られるようにしておくと、仕事などで少し疑問に思ったことでもすぐ調べたくなる習慣がつき、いろいろなことを知りたがるようになります。
例えば、地名や社名、人名などを見たときに、その由来をスマホなどで調べるようにしましょう。身近にあるため調べやすく、知識の広がりも適度に大きいので、トリビアとして最適です。
ほかにも、いつもの通勤の途中駅の駅名を調べてみる、初めて会った人の苗字の由来を調べてみるなどもいいでしょう。これによって調べる快感を覚えた脳は、ニュースを見ても、メインニュース以外の細かなニュースにも目が向くようになり、もっと新しい情報を求めるようになります。これがさらに進むと、異業種交流会やセミナー・イベントなどにも、新たな情報を求めて参加しよう、という気分になってきます。書店などでも、今まで訪れなかった分野の棚が気になるでしょう。
なぜその社名なのか、なぜそんな地名なのか、今まで関心を持たずに過ごしてきていたことに興味を持つことが自然にできるようになると、習慣化できたといえるでしょう。普通の人が興味を持たないようなことに興味を持ったり、情報を記憶に止めようとする無意識が醸成され、意識することなく世の中の事象に興味関心を持つ「アンテナ脳」になっているのです。
【ポイント】
●世の中の情報にアンテナを張るには、それを意識することなく日常的な習慣としてできるようにすることが重要
●何かを知ること、調べることに脳が快感を持つようにする
●普通の人が無視することに興味を持ち、結果として選択肢が増える
【監修】坂本 崇博
コクヨ株式会社 働き方コンサルタント、働き方改革プロジェクト アドバイザー