シナリオシートで「会議の流れ」を想定しておく

会議の参加者に配る資料ができても、それだけで会議がうまく進むことはありません。同じ資料であっても、参加者が同じように理解できるとは限らないからです。

資料を作成し、当日会議を進行するのはファシリテーター(進行役)です。場合によっては、資料を作成した人が進行役を務めることもあります。このとき資料以外に必要になるのが、シナリオシートです。

シナリオシートとは、事前に参加者に配られる1枚のメモで収まるアジェンダや打合せ内容の要約とは違い、会議の流れなどを記載した予定表のようなもの。アジェンダと異なるのは、時間や議題だけでなく、それぞれの議題で費やす時間配分なども事前に想定しておく点です。ファシリテーターは、資料の作成者が別のときには事前に資料や議題の内容について事前の打ち合わせをして、シナリオシートを作成します。もちろん、会議はシナリオ通りに進むとは限りません。そのため想定外のときのことも考えておく必要があります。

通常の会議なら各議題に何分かかるか程度を記入するだけで構いませんが、議論が白熱しそうな場合には、その議題の時間をさらに細かく設定したものを用意しましょう。

例えば、賛成派と反対派が拮抗している議題を話し合う会議なら、発表する時間、反対派の意見を述べる時間、それに対する反対意見を述べる時間、最後に多数決を採る時間、といった具合に細かい攻守交替の予定を事前に想定しておきましょう。

このときは、シナリオシートに意見を求める相手を事前に記載し、シナリオに従ってファシリテーターが発言者を指名します。指名する相手は、その議題について発言が予想される反対派の参加者とそれに対して発言する賛成派というように、事前に対立関係が予想される場合にはお膳立てしましょう。

その際は「それぞれの発言は1回ずつです」など、議論が泥沼化しないように釘を刺しておくとよいでしょう。

基本的にシナリオシートを参加者に見せる必要はありませんが、議論が白熱する可能性が事前にわかっている場合は、両陣営の発言予定者に事前に説明をして、発言を準備してもらうといった根回しもしておきます。「突然指名されても思ったように話せなかった」「議論を続けたかったのに打ち切られた」と不満が残らないようにするためです。

【ポイント】

●予想される会議の流れを記載したのが「シナリオシート」

●議論の白熱が予想される場合は細かな想定をしておく

●発言者を事前に決めておくことで混乱を避ける

●事前に指名を決めた発言者には根回しをしておく

【監修】坂本 崇博 
コクヨ株式会社 働き方コンサルタント、働き方改革プロジェクト アドバイザー

1978年兵庫県生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、2001年にコクヨ株式会社入社。“効率化”という観点から会議体の工夫、情報管理方法のアドバイスなどを自ら考案、新規事業として立ち上げる。2016年に総務業務を中心としたアウトソーシングサービスを提供するコクヨアンドパートナーズ株式会社を設立。現在は、コクヨ株式会社にて働き方改革プロジェクトのアドバイザーを務める。著書に『意識が高くない僕たちのためのゼロからはじめる働き方改革』(PLANETS/第二次惑星開発委員会)がある。