15歳から25歳までの定子を生き抜いた

――まずは定子を演じきってみての心境をお聞かせください。

高畑充希さん(以下、高畑):最初は、中宮定子といえば、『枕草子』で描かれるような明るくてユーモアがある魅力的でハンサムな女性というイメージがありました。でも、中盤以降、次から次へと辛い出来事が定子に降りかかり、華やかだけではない定子を演じる時間が長くなるにつれて、自然に定子がつくられていった感じがあります。

私は15歳から25歳までの定子を演じたのですが、ここまで生き抜く役柄というのはそれほど多くあるわけではないと思います。これだけいろいろなことが起こって周りの環境も変わって、短いながらもドラマティックな人生を歩んだ方でもあるので、本当に生き切ったというか、「最後のゴールテープを切ってバタッ」みたいな感覚で撮影を終えました。

(C)NHK
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“推される役”の不安も…「ウイカちゃんとソウルメイトを演じられてよかった」

――ファーストサマーウイカさん演じる清少納言と定子の「尊い関係」もSNSを中心に話題になっています。

高畑:ウイカちゃんは撮影の中でも外でも私を推してくださっていて、それに救われた部分が大きかったです。私自身はどちらかと言うと、「推す側」というか、何かに憧れたり、何かに対してエネルギーを持ったりする役のほうが多くて、逆に「推される」、エネルギーを持たれる側はほとんど初めてに近い経験だったので、「憧れられる人物を演じなければ」という、“推される役”の不安もありました。

そういう意味で、当時はすごくプレッシャーを感じていたのですが、ウイカちゃんが上げてくれ、私を憧れの存在として扱ってくれたことですごく楽になったし、ウイカちゃんと一緒にソウルメイトの役を演じられて楽しかったです。

――第21回の「旅立ち」では、『枕草子』を書き始めた清少納言と定子がクロスするシーンも印象的でしたが、1000年後の現在に至るまで、定子がユーモアに富んだ知的な女性として語り継がれていることについてはどんなふうに感じますか?

高畑:文字の力というか、文字に残すことがこんなにパワーがあることなのかと……。ウイカちゃんと一緒に『枕草子』が誕生するシーンを撮影して、オンエアを見たときに「こういう守り方があるんだ」と受け取れて、清少納言はなんてかっこいい女性なんだろうと思いました。

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