大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合・午後8時ほか)で、藤原道隆(井浦新さん)の長女で、一条天皇に入内した藤原定子を演じている高畑充希さん。7月21日放送の第28回「一帝二后」では、3人目の子供である姫皇子を産んだ定子が25歳で世を去る様子が描かれました。一条天皇の寵愛を一身に受け、清少納言らが集う才気あふれたサロンを作り上げながらも悲運に見舞われた定子を演じた高畑さんにお話を伺いました。
カメラが回ってない場所でも「定子推し」の“ファッサマ清少納言”に感謝…どん底にあっても『枕草子』に“幸せ”を見出した定子の強さ【高畑充希】
一条天皇に寵愛される定子を演じる上で一番悩んだこと
――一条天皇の定子への寵愛ぶりも話題になっていますが、一条天皇を演じる塩野瑛久さんとの共演はいかがでしたか?
高畑:一条天皇も「定子さん、好きです」と持ち上げてくださって、恥ずかしげもなく言葉で表現してくださる方だったので、それに救われた感覚は強かったです。めちゃくちゃ愛される役ってどこかずっと不安なんです。自分で大丈夫かなとずっと思いますし、そんなときにウイカちゃんや塩野さんは中でも外でも推してくれるので、セリフの上だけではなくてすごく助けてもらえたなと思います。
ただ、一条天皇とのシーンは常に複雑で……。一条天皇は、定子にとっては最初は可愛い弟分だったのですが、そこから一人の男性として見るようになって愛し合っていきます。その後は「この人に見放されたら自分も子供も行く場所がなくなるし、終わってしまうという保身的な部分も加わってきて……。
それに対して、一条天皇は相変わらず「愛の一本勝負」で来てくれるのですが、そこの温度差も感じるようになるし、男性と女性の違いも見えてきて「愛情をもらうのは嬉しいし、全力で応えたいけれど、考えなければいけないこともあるし……」のような混沌とした感情が後半のほうでは強くなってきて、辛いというか、ただ好きな相手を求めるという部分だけではいけないもどかしさのようなものがありました。
もちろん、一条天皇に対する愛情が減ったわけではありませんが、いろいろな状況が重なって真綿で首を絞められていくような苦しさはあったと思います。
定子を演じて一番悩んだ部分もそこで、家族が不利な立場にならないように政治的な面を見せるシーンもあるのですが、あまりにも政治的に見えてしまうと、一条天皇への愛情も嘘に見えてしまう可能性もある。家族のことも考えなければいけないし、でも一条天皇への愛も嘘ではなくてお互いが本当に愛し合っていたというふうに見えるように、監督に相談しながら撮影していきました。