百舌彦「恋バナをされた友達のような…」

――まひろと道長の恋模様をどんなふうに見てますか?

矢部:やっぱり姫様には幸せになってほしいというのがありますから、ちょっと複雑な気持ちもありますよね。

――道長からまひろへの伝言を頼まれたときに「若君、もういい加減にしてくださいませ」と言ったシーンもありましたね。

矢部:かなり出過ぎた発言ですよね……。

本多:本当ですよ、切り捨てられてもおかしくない。でもあのセリフは乙丸の一途さが出ていますよね。

矢部:そんなふうに百舌彦さんも(乙丸の一途さを)分かっているから、切り捨てなかったのでしょうね。

大河ドラマ『光る君へ』場面写真
(C)NHK

本多:(百舌彦の気持ちとしては)道長さまはすごく素敵な男性ですし、まひろさんは道長さまと結ばれたら多分幸せにはなるんだろうなとは思うけれど、道長さまには道長さまの家庭や使命があるから「ややこしくなってもな……」みたいな気持ちでしょうかね。

恋バナをされた友達のような、「秘密を知っているけれど、なんも言えへんな」という感じでしょうかね。難しい恋をされているなって。

(道長とまひろは)ずっと惹かれ合うんでしょうね。かといって結ばれてしまうとそれはそれでまた変わってくるのですかね。あの感じがいいんですかね。

矢部:そうですね。。

大河ドラマ『光る君へ』場面写真
(C)NHK

本多:でも、2人が会うときには百舌彦も乙丸も近くにいると思うんですよね。夜やから絶対に待っていて、乙丸と百舌彦は2人で何か話しているのでしょうが、その後に(道長とまひろをそれぞれ)連れて帰る。その道中ではあまり喋らないと思うんですよね。

矢部:そうですよね、何があったとかは絶対聞かないし、話さない……。

本多:その時間が、切なさもあるけれど、特別な時間なんじゃないかなとは思います。

大河ドラマ『光る君へ』場面写真
(C)NHK

乙丸「パートナーはいるけども百舌彦さんのことも思ってます」

――今後、乙丸にはパートナーができる展開だそうですね。

矢部:そうなんです、パートナーがね……。

本多:知ってますよ。

矢部:すみませんね、「ソウルメイト」とか言ってたけど……。

本多:いや、それは別なので(笑)。

矢部:ごめんなさいね、パートナーはいるけども百舌彦さんのことも思ってますんで……。

本多:すごい、今、初めて殺意を覚えました(笑)。

矢部:でも僕もビックリしました。確か前の回で「一生独身でいます」って言っていた気もしたんですけれど……。人間って面白いなと思いました。乙丸も人間ぽいなと。

でもね、きっと乙丸は姫様のためにウニを求めに行ったときにパートナーに出会ったんですよね。姫様にいいウニを届けるために仲良くお話ししていたんでしょうね。

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大河ドラマ『光る君へ』場面写真
(C)NHK

『光る君へ』

『光る君へ』は、平安時代中期の貴族社会を舞台に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。のちの紫式部であるまひろが、藤原道長への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で「光源氏=光る君」のストーリーを紡いでゆく姿を描く。脚本を手掛けるのは、『セカンドバージン』や『知らなくていいコト』『恋する母たち』などで知られる大石静さんで、今回が2度目の大河ドラマ執筆となる。

THE GOLD 60編集部