国内でも年率10%を予想…安定的に利益を出す「ワイン投資」

ブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料であるワイン。このワインが、近年「投資対象」として注目されていることはご存じでしょうか。

ワインには実物資産としての価値があり、経年による値上がりも期待できます。また、株や債券とは異なる動きをするため、分散投資によるリスクヘッジが可能だと、資産のポートフォリオに組み込む富裕層が増えているのです。

ファインワインの国際市場は毎年「約13%」成長

投資対象となるのは、「ファインワイン」と呼ばれる高級熟成ワインです。株式会社WineBankの戸髙薫氏いわく、国内外のワイン市場は順調に成長を続けているといいます。

戸髙氏ロンドン国際ワイン取引所『Liv-ex』が公表しているデータによると、直近10年〜30年の統計から、ファインワインの国際投資市場は毎年約13%のペースで成長しています。その希少性から安定的に価格が上昇しており、分散投資の選択肢のひとつとして、優れた投資パフォーマンスを発揮しています。

日本国内をみてみると、酒類全体の消費量は減少傾向にある一方、ワインに限ってみると消費量は増加傾向です。そのようななか、日本のワイン投資市場についても、今後さらなる成長が期待されています

代表銘柄は「5大シャトー」だが、近年は「ニューワールド」にも注目

ワイン投資の銘柄として代表的なのが、フランスで最も有名な銘醸地・ボルドーのなかでも最高級ワインの醸造所として知られる「5大シャトー」(シャトー・ラフィット・ロスチャイルド/シャトー・マルゴー/シャトー・ラトゥール/シャトー・オー・ブリオン/シャトー・ムートン・ロスチャイルド)です。

戸髙氏ボルドーは供給量も品質も安定しているため、価値の下落が起こりにくい傾向にあります。極端に高騰もしませんが、安定的な値上がりが期待できるため、初心者にもおすすめの銘柄だといえます。

一方で、ブルゴーニュやシャンパーニュは近年価格が急騰しており過熱感があるため、最近はニュージーランド、南アフリカ、日本などの“ニューワールド(※)”も注目されています

(※)ニューワールド……ワイン生産の歴史が新しい国のこと。フランスやドイツなど、ワインを古くから生産している「旧世界」と対比して、ニュージーランド、南アフリカ、日本などはニューワールドと分類される。

個人売買はハードルが高い…初心者がワイン投資をはじめるには

ワインに投資する方法として、どのような方法があるのでしょうか。

1.個人売買

戸髙氏まずひとつめは、個人での売買です。ただし、ワインの価値は産地や生産者、生産量、年代など、さまざまな要素によって決まるため、個人でやり取りする場合には、本人がワインの基本知識を習得する必要があります。

また、銘柄の選定だけでなく、仕入れ方法や適切な保管方法を考えなければならず、手間や時間がかかるのが難点です。

さらに、個人が店舗で購入し、適切な環境で熟成させたとしても、それを証明するのはほぼ不可能といえます。

個人が「投資」という観点でワインを売買する際は、上記が大きな障壁として立ちはだかるのです

2.「ワインインポーター」を介して行う

戸髙氏したがって、基本的には「ワインインポーター」と呼ばれる、ワインの購入、保管、売却などを一括して担ってくれる専門業者を通じて行うのが一般的です

3.「ワインファンド」を利用する

戸髙氏また、『ワインファンド』を利用するのもひとつでしょう。ワインファンドは投資信託と同様、投資家から集めた資金を使って、プロが選んだ複数のワインに投資します。保管、売却も一括して担ってくれるため、ワインの知識に自信がない人や、手間をかけずに投資したい人には手軽で便利な投資手法といえます

さらに、近年ではアプリを活用してスマホで投資が完結できるサービスも生まれてきているといいます。個人ではじめるにはハードルが高かったワイン投資ですが、投資環境が整備されてきていることで、今後は一部のワイン愛好家だけでなく、より幅広い層へと広がっていくかもしれません。

戸髙氏これまでは超富裕層や富裕層の愛好家が、どちらかというとクローズドな世界でワイン投資を楽しまれていました。しかし、最近の投資機運の高まりやインフレ進行によって、現物投資への興味・関心が高まるなか、準富裕層やアッパーマス層でもワイン投資に興味を持たれる人が増えてきています。

実際、ワインが好きで、ワイン投資にも興味があったけれども、国内で気軽にはじめられるツールがなく、また海外のサービスは一口の金額が大きいため、簡単に手が出せなかったというお客様も少なくありません

“投資” だからこそ、マイナスになるリスクもあるが…

今後も値上がりが期待されるワイン投資。しかし投資である以上、損失が生じるリスクにも注意が必要です。

戸髙氏投資という側面だけで考えると、当然元本保証ではないため、損失が生じる可能性もあります。ただ、ワインはそもそも嗜好品です。実物資産であり、自分で飲んで楽しむこともできます。ワイン投資を通じて利益を得ることはもちろんですが、それだけではなく新しいワインの楽しみ方を知ることで、より豊かな生活を送るという気持ちではじめてみるのはいかがでしょうか

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著者:株式会社WineBank

2020年、創業50年の老舗酒販店をM&Aで事業承継したスタートアップ企業。「Wine×Technology」を標榜し、ワイン販売事業をはじめ、オンラインでワインの流通、販売、管理を行うためのプラットフォームを提供。同社が2022年から提供を始めたワイン投資サービス「WineBank」は、アプリや公式サイトを利用してオンライン上でワインへの投資が可能。

提供:© Medical LIVES / シャープファイナンス