高齢の「おひとりさま」が自宅を片づけようとする際、知っておいたほうがいいことがあります。それは、一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事の杉之原冨士子氏によると、「人生を楽しむための片づけ」だそうです。杉之原氏の著書『おひとりさま最後の片づけ やるべきこと・やらなくてもいいこと』より、詳しくみていきましょう。
ポイント(6)暮らしに潤いや楽しみを
「転んでケガをしない、安心・安全な部屋」「必要なモノがすぐに取り出せる、快適な空間」が実現でき、「思い出の品がいつでも見られる」ように整理できたら、今とこれからの人生を楽しむために、暮らしに「潤い」や「楽しみ」を取り入れていきましょう。
送りたい暮らし、自分らしい暮らしのイメージは人それぞれ違うはずです。
ファミリータイプのダイニングセットは、もういらないかもしれません。おひとりさまにぴったりの小さめのテーブルにして、ちょっと贅沢なリクライニングソファが欲しいと思う人もいるかもしれません。
お友達とおしゃべりしたい、得意なフラワーアレンジメントを教えたい、と思うなら大きなテーブルは残しておいたほうがいいですよね。やりたいことに合わせて、家具の種類や大きさも変化するのです。
インテリアを整えていく中で、ぜひ取り入れて欲しいのは、間接照明です。特に、温かみのあるオレンジ色(電球色)の間接照明をリビングや寝室に置くと、ゆったりとした気分を演出することができます。安らぎの空間で自分の好きなことに夢中になる幸せな時間を過ごしてください。
また、毎日気に入った食器で食事をしていますか? 気にならない方は今のままでもいいでしょう。けれども、食器もおいしさの一部です。大好きな器にのせれば、出来合いの料理でもおいしく感じ、食欲をそそるものです。たくさんの食器はいりません。お気に入りの食器だけ、食器棚の使いやすい場所に収納しましょう。
老後2000万円問題などが騒がれ、節約しなければと思う気持ちもよくわかります。先行き不安な世の中で、自分にお金を使うことをためらうこともわかります。
けれどもお金は生きている間にしか使えません。生きた使い方をすれば、決して無駄遣いではありません。
自分らしいお金の使い方で豊かな暮らしを送って欲しいです。
おひとりさまの片づけでは、これまでの人生の棚卸しをして、「これからどんな暮らしをしていきたいか」「自分はどんなものが好きなのか」を見つめ直すことが大切です。
杉之原 冨士子
一般社団法人日本ホームステージング協会 代表理事