その人のすべてがわかるエンディングノート

おひとりさまの遺志を伝えるには、法的拘束力のある遺言書が最強ですが、形式や書く内容に制限があります。一方、法的拘束力はないものの、自由に書けるのが「エンディングノート」です。エンディングノートは、一言でいうと「その人の事がすべてわかる」もの。親族や知人、財産のリストなどの「情報」、医療介護や相続などの「希望」を伝えられるので、あなたを助けたい人が困りません。

また終末医療についての希望もぜひ書いておきましょう。延命治療をしたくないならしたくないと明示しておく事が大切。このノートなど自分の希望をケアマネジャーやドクターと共有できていれば、通常、不要な延命治療の意向はないと合意されます。

終末医療について心配なら、公証役場で「尊厳死宣言公正証書」を作成するのもひとつの方法。これも法的拘束力はありませんが、この宣言書をドクターに示し、希望を伝えます。作成したら、エンディングノートに記載しておきましょう。

さらに財産や人間関係を書く事で、自分自身の人生の棚卸しができて、今後の財産整理や相続の準備もできます。

エンディングノートに気持ちをまとめたら、住まいと身のまわりの整理にも着手しましょう。例えば先ほどの入院セットの準備に加え、重要書類のまとめ、荷物の整理、住み替えの検討なども始めましょう。
断捨離まではできなくても、最低限、定期的にゴミは捨てておきます。不要なクレジットカード類はハサミを入れる事を忘れずに。

そして重要書類は、間違って捨ててしまったり、死後、見つけられないなどのトラブルを避けるため、ひとつの紙袋やボックスにまとめておきましょう。

高齢者施設への入居や頼れる人の近くへの転居などの「住み替え」、終の棲家についても検討しておきましょう。実は住み替えは、いらない物を一挙に捨てて家が片づくチャンス。たとえ住み替えなくても、期限を決めて片づけるとよいですね。

漫画:なとみみわ

記事:池田純子