超高齢社会の日本はもうすぐ、高齢者の増加によって死亡者数が増え、人口が減少していく「多死社会」に突入します。そのようななか、賃貸業を営む家主や不動産会社が頭を抱えている「深刻な問題」についてみていきましょう。『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)の著者で司法書士の太田垣章子氏が、家主や不動産会社の具体的な声とともに詳しく解説します。
10年後の日本は「事故物件」だらけ!?…日本人を待ち受ける「多死社会」という避けられない未来【司法書士が解説】
もうすぐ「多死社会」を迎える日本…求められる「認識の変化」
病死も、新しい入居者から「前もって知っていたら借りなかったのに」というクレームが来ないよう、家主側は告知しています。しかし、告知したらしたで、次の入居者を確保できなかったり、賃料を下げざるを得なかったりして資産価値低下につながっています。
結局のところ、入居者が孤独死すると家主側の負担が非常に大きくなります。そのため、入居者確保が少々困難になったとしても、事故物件化を防ぐために高齢者に貸すのを避けるしか方法がないのです。
しかし、このような現状は家主にとっても、賃貸を借りたい高齢者にとっても不幸な事態です。人は生きている限り、どこかに住まなければなりませんし、生きている人は誰しも必ずいつか死を迎えます。人が亡くなった場所をすべて事故物件化していたら、この日本に高齢者の住む場所はどこにもなくなってしまいます。
高齢者の増加によって死亡者数が増え、人口が減少していく「多死社会」もすぐそこまで来ています。今後は『死』に対する認識を、日本人は変えていく必要があると私は考えています。
太田垣 章子
司法書士