老後に向けた資産形成や生活費の担保など、さまざまな理由から「副業」を検討している人は少なくないでしょう。副業には多くの選択肢がありますが、地方創生の切り札として、いま「首都圏在住の副業人材」が注目されていると、メガバンク出身のコンサルタントで『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏はいいます。事例を交えながらみていきましょう。
首都圏在住の会社員は「地方での副業がおすすめ」といえるワケ【メガバンク出身の経営コンサルタントが解説】
地元経営者の“意欲の高さ”に驚いた筆者
森田氏が中心になって進めた「伊豆半島の経営者と首都圏副業人材をマッチングさせるプロジェクト(2泊3日の合宿形式)」の2回目は、下田市のワーケーション施設(下田市所有、三菱地所運営)および下田東急ホテルにて行われましたが、地元経営者および自治体、金融機関向けに行われた戦略ワークショップを私も講師としてお手伝いしました。
とくに地元経営者の首都圏副業人材に対する期待感は強く、なかなかICTスキルを持った人材の雇用は難しいが、副業人材としての活用ならコストパフォーマンスの面でメリットが大きいという問題意識で、その積極性に驚きました。
2回のプロジェクトによって実際にマッチングした副業人材を見てみると、Webマーケティング、イベント企画、社員教育など多様なニーズが存在します。とくに新規事業の企画や既存社員の活性化に期待する経営者が多かったのが印象的です。
独立後の森田氏は、行政・企業顧問、人材マッチング事業と並ぶ、もう1つの事業の柱として、地方での交通改善とコミュニティ活性化を組み合わせた取り組みを進めています。東急のMaaS事業で培ったノウハウで行政や地元社会と実証実験を行い、地方創生へつなげていく取り組みです。
人口が急減少する日本では、その流れを止めることは難しいものの、コロナ禍を経て働き方は確実に多様化しつつあり、地方もいかに関係人口を増やすかを課題として取り組んでいます。
大杉 潤
経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師