テロ組織への資金流出や振り込め詐欺などを未然に防ぐため、金融機関の「本人確認」はますます厳しくなっています。そのようななか、司法書士で『死に方のダンドリ』(ポプラ新書)著者の岡信太郎氏は、こうした金融機関の対応について、「そろそろ見直すべき時期に来ている」といいます。来年以降、多くの日本人を待ち受ける「残酷な未来」の可能性について、詳しくみていきましょう。
せっかく貯めた老後資金が…金融機関の“容赦ない口座凍結”に撃沈。来年「700万人の日本人」に待ち受ける残酷な未来【司法書士が警告】
2025年には約700万人が認知症…金融機関に求められる「変化」
ところが最近、本人確認ができないために、本人のための支出であっても自由に使うことができないケースが増えてきているのです。本人が認知症とわかった途端、金融機関側から口座を凍結されることもめずらしくなくなってきました。
その理由はもうおわかりですね。そう、認知症高齢者の増加です。
高齢者のお金を狙った振り込め詐欺の多発によって本人確認が厳しくなっていることは先ほどお話ししました。振り込め詐欺による被害をなくすために、金融機関が高齢者の預貯金の引き出しや振り込みに慎重になっています。それはある程度仕方のないことです。
ただ、金融機関が高齢者や認知症の方にどう対応するかは、そろそろ見直すべき時期に来ていると私は考えています。65歳以上の高齢者のうち、認知症高齢者は今後ますます増加していきます。2025年には約700万人、じつに65歳以上の5人に1人が認知症になるという推計がなされています。
実際、高齢化が進行し、認知症に関する案件や相続案件は司法書士である私の事務所でも年々増えています。しかしながら、スムーズに対応できる窓口はまだまだ少ないと感じます。
現在、どの銀行も相続手続きを相続センターに一本化する傾向が見られます。認知症に対応するための新たな資格を導入することも発表されました。本人が認知症になっても家族が預金を引き出せる商品も出てきています。
ただ、これは認知症になる前に本人が代理人を設定しておかなければいけません。
岡 信太郎
司法書士のぞみ総合事務所
代表