前回記事では「ビールがおいしい飲食店」の見極め方を紹介しました。では、自宅などでビールを飲む際にはどのような工夫ができるでしょうか？ 藤沼正俊氏の著書『パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール』（春陽堂書店）より一部を抜粋し、ポイントを紹介します。
（※写真はイメージです／PIXTA）
【ビール専門店社長が伝授】〈冷凍庫でキンキン〉は逆効果だった!? 自宅で「最高においしいビール」を飲むための“ひと工夫”
＜前回記事＞
「ネットの写真を見ただけでわかる」…ビール専門店社長が教える〈実はうまいビールを出す店〉の特徴
ビールは買ってから1日置いて飲むべし
まず、缶も瓶もそうですが、購入してから帰宅するまでになるべく揺らさないのが鉄則です。ビールは発泡性の飲み物なので、揺らしてしまうと味や香りが劣化する恐れがあります。
ただし、ビールを買って帰るまでに、まったく揺らさないのは不可能だと思います。そこで、ビールを購入したあとは、冷蔵庫などでしばらく置いてください。
中身が揺れてしまったビールは、味や香りが乱れています。それだけで、ビールのポテンシャルを発揮できなくなってしまうのです。
買ってきたビールをすぐに飲みたいと思うかもしれませんが、1日置いて落ち着かせてから飲むのがベストです。また、ビールは冷蔵庫に1〜2時間入れただけでは中心まで冷えません。常温で買った場合は、最低でも4〜5時間は冷やしてみてください。
［図表1］自宅でもできるひと工夫 出所：藤沼正俊著『パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール』（春陽堂書店）
Q. ビールは暗いところで保管したほうがいい？
⇒A. ビールは熱にも弱いのですが、光にも弱いとされています。直射日光はもちろんのこと、蛍光灯の光によって味やにおいが劣化することもあるといわれています。そのため、冷暗所や冷蔵庫に保管し、できるだけ光に当たらないようにしましょう。いつもと違ったにおいがする場合は、「日光のにおい」がついていることを疑ってみてください。
缶ビールは「ゆっくり開けて、よく洗ったグラスに注ぐ」とおいしい
缶ビールのおいしい飲み方について紹介していきましょう。
まず、種類については、好みで構いません。自分が好きなビールの銘柄を購入し、振らないように注意しながらよく冷やして楽しむようにしましょう。
次に、缶の開け方については、「ゆっくり開ける」のがポイントとなります。
冷えているビールを買ってくると、すぐに飲みたくなる気持ちもわかりますが、開けるときはいったん落ち着いてください。そうして優しく開けると、ビールがよりおいしく飲めるようになります。
また、ビールは缶から直接飲むのではなく、よく洗ったグラスに注いで飲むようにしましょう。そうすることで、ビール本来の味わいを楽しみやすくなります。
ジョッキの洗浄に関しては、お店でもそうですが、自宅でも同じことです。きちんと洗って自然乾燥させ、余計なにおいがしないような状態でビールを注ぎましょう。
［図表2］缶ビールをおいしく味わうために 出所：藤沼正俊著『パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール』（春陽堂書店）
Q. ビールは冷やしすぎてもダメなの？
⇒A. ビールの種類にもよりますが、やはり適温で飲むのがよいでしょう。一般的なラガービールであれば、夏は少し冷やしめで4〜6℃、冬はもう少し高めの6〜8℃くらいがおすすめです。それ以上冷やしてしまうと、ビールの成分が結合してしまい、濁りが生じることがあります。その結果、味が劣化し、泡立ちも悪くなることがあるので注意しましょう。
「30℃以上になる場所」で保存するのはNG！味や風味が落ちてしまう
ビールの保存に関しては、とくに“夏場”に注意が必要です。
ビールは、おおむね30℃以上になると酸化・劣化が進むとされています。そのため、暑いところに置いておかないように注意することが求められます。もし居酒屋などで、暑くなりやすいところにビールを置いていたら要注意です。
そのような状況だと、ビールはどんどん劣化していく恐れがあります。やはり、冷蔵庫や日の当たらない倉庫などで保管するのが鉄則です。そうした管理ができているかどうかを、できればそのお店に入る前にきちんとチェックしておきましょう。
自宅でビールを楽しむ場合は、温度変化による“破裂”にも注意してください。味や香りの劣化だけでなく、破裂の衝撃でけがをする恐れもあるためです。
ちなみに、一度凍ったビールを解凍すると、味や風味は劣化していることがほとんどです。缶ビールを凍らせてしまった場合は、あきらめて処分するようにしてください。
［図表3］ビールは温度変化に弱い飲み物 出所：藤沼正俊著『パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール』（春陽堂書店）
Q. ビールの缶は破損しやすい？
⇒A. 缶ビールは、ちょっと落としたり衝撃を与えたりしただけで破損することがあります。とくにアルミ缶は、環境にも配慮されており、最も薄い部分で0.1mmほどとなります。そのため、ぶつけたりするだけで亀裂が生じることもあれば、変形してしまうことがあります。缶も瓶もビールをおいしく飲むには丁寧に扱うようにしてください。
藤沼 正俊
株式会社PERFECT BEER代表取締役
キリンビールマーケティング株式会社（現・キリンビール株式会社）に勤務後、クラウドファンディングで資金を募り独立起業。2021年にビール専門店「PERFECT BEER GARDEN TOKYO」を東京の門前仲町にオープン。現在は直営店4店舗、フランチャイズ店11店舗まで事業を拡大させている（2024年3月現在）。
