ビール専門店を営む藤沼正俊氏は、おいしいビールを出すお店かどうかは、実際に飲まなくてもわかるといいます。藤沼氏の著書『パーフェクトビアの社長が教える ビールを最高においしく飲むためのルール』(春陽堂書店)より一部を抜粋し、本稿では「おいしいビールが飲める飲食店」の判断ポイントを見ていきましょう。
「ネットの写真を見ただけでわかる」…ビール専門店社長が教える〈実はうまいビールを出す店〉の特徴
「おいしいビールを出すお店」はネットの写真を見ただけでわかる
本当においしいビールは、写真を見ただけでわかります。
具体的には、次の3つのポイントが挙げられます。
1つ目は、あらいカニ泡ではなく、見るからにきめが細かく、かつクリーミーであること。泡は、味や口当たりを楽しめるだけでなく、ビールのうまみを閉じこめる役割もあります。
2つ目は、グラスに付着した気泡についてです。よく、ビールのグラスの内側にぷつぷつと小さな気泡がついているグラスがありますよね。あれは実は、油汚れなんです。油が落としきれていないグラスには、気泡がたくさんついてしまいます。
3つ目は、エンジェルリングについてです。きれいにグラスが洗浄されており、きめが細かいクリーミーな泡で注がれたビールは、飲んだあとにエンジェルリングと呼ばれる“泡のライン”ができます(図表2)。
「高いお金をかけないと、おいしいビールは飲めない」は誤解
実は、ビールの味に大きな違いが生まれるのは、「ビールグラスの洗浄」や「ビールサーバーのメンテナンスを正しく行っているかどうか」によってです。
意外に思われる人もいるかもしれませんが、それがおいしいビールをとことん追求してきた私の実感です。そして現状としては、飲食店の9割が、徹底した洗浄やメンテナンスをしっかりできていません。
ビールグラスの洗浄やビールサーバーのメンテナンスができていないと、それによって泡があらくなります。加えて、苦味や雑味が強く、ひどい場合には酸っぱいにおいのするビールが提供されることになります。
それでは、おいしいビールを飲めるはずもないですよね。そうしたビールが提供された結果、ビールを嫌いになってしまった人も少なくありません。
本当においしいビールを飲むための4つのポイント
私が定義している「パーフェクトビール」とは、ビールの銘柄ではなく、グラスの洗浄方法やビールサーバーのメンテナンス方法をクリアしたものを指します。
具体的には、次の4点を徹底しているかどうかによって決まります。
1. ビールの鮮度管理
2. 日々のビールサーバーの洗浄やメンテナンス
3. 温度に合わせたガスの圧力管理
4. グラスの徹底した洗浄と乾燥
これら4つのポイントをクリアしたものがパーフェクトビールです。それだけで、普通に提供されているビールと比べて、味にとても大きな違いが出ます。
ビア樽の置き場所や、それなりに繁盛店かどうかもチェック
おいしいビールを提供するためには、ビア樽の管理にもこだわる必要があります。
次に挙げる3つのポイントが、ビア樽の基本的な管理方法となります。
ビールは発泡性の飲み物なので、衝撃を与えることによって泡が抜けてしまう恐れがあります。投げたり転がしたりせず、丁寧に運ぶことが大切です。
次に温度。ビールは温まることで味のバランスが崩れることがあります。すぐに傷んで飲めなくなるわけではありませんが、直射日光が当たる場所にビア樽を置いているような店のビールはおいしくないと判断してもよいでしょう。
最後は、ビールの鮮度。ビール樽は、開栓後2〜3日で飲みきることが求められます。そうしないと、ビールの味や香りが落ちた状態で提供されることとなり、結果的に、あまりおいしくないビールを飲むことになってしまいます。
お店でビールを飲む際には、チェックしてください。
藤沼 正俊
株式会社PERFECT BEER代表取締役
キリンビールマーケティング株式会社(現・キリンビール株式会社)に勤務後、クラウドファンディングで資金を募り独立起業。2021年にビール専門店「PERFECT BEER GARDEN TOKYO」を東京の門前仲町にオープン。現在は直営店4店舗、フランチャイズ店11店舗まで事業を拡大させている(2024年3月現在)。