昔は「四谷区」今は「新宿区」…街の歴史

新宿区の東側に位置する「四ツ谷」。商業施設や教育施設で賑わいをみせる一方、江戸城外堀跡には中央線が走り、歴史が街に溶け込んでいます。旧行政区であった四谷区は、のちに新宿区に組み込まれ消滅。しかし、四ツ谷駅を中心に今もなお慣例として「四谷」を称する町名が残っています。

飯田橋から赤坂へと続く江戸城外堀は、寛永13年に建設されました。当時、この地は江戸城周辺のため武家が多い地域でした。外堀の建設を機に、江戸の中心部にあった寺社の多くが四ツ谷などの周囲部へ移転。そのため、四ツ谷には現在も多くの寺社が存在しています。映画のラストシーンにも使われて有名になった「須賀神社」は、四ツ谷を代表する歴史深い神社です。

四ツ谷駅から徒歩6分ほどの場所に位置する「迎賓館赤坂離宮」は、東京23区で唯一の国宝建築です。1909年に東宮御所として建設され、現在は世界各国からの賓客を迎える国の迎賓施設として使用されています。四ツ谷は江戸から明治頃の歴史を感じさせ、賑わいと落ち着きの両面を併せ持つ街です。

医師の視点…「開業エリアとして」四ツ谷は狙い目か?

四ツ谷ってどんな街?

四ツ谷駅はJR中央・総武線、南北線、丸の内線が乗り入れ、都内のどこに行くにもアクセス良好。JR東日本「各駅の乗車人員」によると、2022年度の1日平均乗車数はJR線で約8万人、JR東日本の100駅中44番目に多い数です。1位の新宿駅(約60万人)からは電車で数分程度の近距離にもかかわらず、乗車数は7分の1程に落ちるため、新宿駅と比べるとかなり落ち着いた印象です。

駅周辺には大企業から法律事務所の小さなオフィスなど、さまざまな企業が立ち並び、行き交う人のなかにはサラリーマンも多くみられます。上智大学など教育機関も多いため、学生街としての一面もあります。

実は住宅地の多い街!“四ツ谷に住む人たち”

また四ツ谷は、新宿区のなかでも住宅地が多いエリアです。かつて武家屋敷があった名残から、大きな敷地を持つ屋敷が点在する閑静な住宅地も存在しています。四ツ谷エリア(四谷一丁目~四丁目)の人口は4,932人(新宿区「住民基本台帳」より※2023年12月1日現在)で、直近5年はほぼ横ばい。男女比はおよそ1対1です。また世帯数は3,202人と、ファミリー層も多く居住しているとみられます。

※四ツ谷駅前にそびえ立つコモレ四谷(PIXTA)
※四ツ谷駅前にそびえ立つコモレ四谷(PIXTA)

そんな四ツ谷のランドマークが、2020年にオープンにオープンした、地下2階・地上31階建てのレジデンス・オフィス・商業複合施設「コモレ四谷」です。

コモレ四谷には飲食店やスーパーマーケット、郵便局など生活に便利なショップが多数入居しているほか、クリニックも6件入居しています。科目は、内科、皮膚科、形成外科、精神科・心療内科、眼科、小児科、歯科(2件)です。(2023年12月13日時点)

新宿区・四ツ谷駅エリアのクリニック事情

日本医師会「地域医療情報システム(JMAP)」によると、新宿区における医療機関数は約1,200施設と、東京23区のなかでは4番目に多い数字です。

また、クリニック・病院情報の掲載サイト「Doctors File」をみると、新宿区の掲載クリニック・病院数は1,007施設、うち四ツ谷駅エリアは97施設でした(2023年12月13日時点)。

新宿区は東京23区内でもクリニックが多い一方、四ツ谷エリアに絞ると、クリニックの数はグッと減るようです。

番外編…ライターイチ推しの四ツ谷グルメ「たん焼き 忍」のゆでたん

※「たん焼き 忍」のゆでたん(ライター撮影)
※「たん焼き 忍」のゆでたん(ライター撮影)

最後に、四ツ谷エリアの絶品グルメを紹介します。四ツ谷駅を出て新宿方面に向かって歩くと、右手側に「しんみち通り」という看板を掲げた細長い通りが見つかります。“四ツ谷の飲食街といえばこの通り”と言われるほど、大衆居酒屋や多国籍料理、バーなどバラエティ豊かな飲食店が多数軒を連ねています。

洋食の「レストラン バンビ四谷店」、本格中華料理の「雪梅花(しゅうめいほぁ)」、メキシコ料理の「サスサカバナ四ツ谷バル」など、わずか100メートルほどの通りのなかに、これほど多くの多国籍料理があるのも珍しいでしょう。

ノスタルジックなこの通りも魅力的ですが、なかでも人気のお店が、しんみち通りから一本北側の「三栄通り」をしばらく歩いたところにある牛タン専門店「たん焼き 忍」です。昭和54年創業のこのお店は、開店時間直後から満員となるほどの人気店。店内は古木を活用し、趣のある民芸風の造りになっています。

そしてこのお店の一番人気は、分厚く切られたボリュームが魅力の「ゆでたん」です。塩と胡椒が良く効いており、ワサビを添えていただきます。同店の店主が考案したゆでたんは、東京流の食べ方として各地に広まったそうです。6~7時間ほどかけてじっくり煮込んで作った、ゆでたんの柔らかさにきっと驚くことでしょう。

その他にも、炭火で焼いた「たん焼き」も、お肉の旨味がぎゅっと詰まり、歯ごたえも心地よく美味しいです。和風のデミグラスソースを贅沢にかけた「たんシチュー」も、お店のおすすめメニューのようです。四ツ谷に来た際は、「たん焼き 忍」でバラエティ豊かな牛タン料理を試してみるのはいかがでしょうか。

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