株で勝つということは、簡単なことではありません。ネットで話題になっている株を買ってしまう個人投資家も少なくありませんが、「これでは勝つことは望めない」と、人気投資ブログ「エナフンさんの梨の木」の筆者であり、会社員投資家である奥山月仁氏は言います。奥山氏の著書『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より、株式投資で利益を出すために必須ともいえる「大化け株」の見つけ方を解説します。
〈決算書〉や〈ネット情報〉だけで判断する投資家より有利!?…こだわりや嗜好を持つ人が〈大化け株〉を見つけられる「これだけの理由」【人気投資ブロガーが解説】
【大化け株の見つけ方③】職場での知見を活用し「ライバル」にも注目
ビジネスパーソンなら、職場での知見をそのまま株式投資に活用することができる。化学会社の社員であれば化学株、半導体関連企業の社員であれば半導体関連株を狙うのだ。
具体的に言うと、例えば、あなたがいつも読んでいる業界の専門紙には業界の出来事が事細かく掲載されている。その中に急成長している新興企業の記事があれば、それこそが有望株の候補になる。恐らく欧米系のヘッジファンドのファンドマネジャーよりも、あなたのほうがよっぽどその会社の有望度を正確に判断できるだろう。私もこの方法で大きく勝ったことがある。
あるいは、職場で何気なく使っている便利なネット企業なんていうのも面白い。その会社の良さを実感できるというあなたの強みを十分に発揮できるはずだ。
10年ほど前の話だが、工場を経営している叔父がこうぼやくのを聞いた。「いつも使っているMonotaRO(3064)の株を買えばよかった。あの便利さを初めて知った時に買えば、株価は10倍になっていたよ」。
工具や間接部材をネットで販売する同社は今や「工場のアマゾン」などと呼ばれ、工場にとって欠かせない存在だが、東京・大手町に通う金融のプロたちには縁遠い企業だ。間違いなく私の叔父はこの会社の良さをいち早く知る立場にあった。
その強みを生かせなかったのは残念だったが、さらに残念な話がある。実はその話を私が聞いた10倍高の時点ですら、同社株を買うには遅くなかったのだ。その後も株価は順調に上がり続け、2018年9月には、10倍高からさらに13倍の6,550円に達した。
あなたが働いている業界で、格下でありながら急成長している「嫌なライバル企業」があれば、それも有望株といえる。業界に精通しているあなたが「嫌だ」と感じることこそ、その企業が優れている証拠だ。「業界の秩序を乱す」などと文句を言う前に、その株を買い、ビジネスモデルの研究でもしたほうが、あなたの仕事にも有益だろう。
【大化け株の見つけ方④】趣味や好みの情報を生かす
仕事以外であれば、あなたの趣味もそのまま強みとして生かせるだろう。必ずしも人に自慢できるような趣味である必要はない。
例えばゲーム。「ポケモンGO」の大ヒットで急騰した任天堂(7974)のように、このジャンルからはいくつも大化け株が登場している。クルマ好きならスバルブランドの富士重工業(現SUBARU、7270)で10倍高を取れたかもしれない。商品やサービスの良さを実感できるだけでも、決算書やネットの情報だけを見て投資している人に比べれば、かなりの強みを持っていると言えるのだ。
もっと言うと、趣味ともいえないこだわりや嗜好でさえも、十分な強みになる。私はトンカツが大好物だが、おかげでトンカツ専門店「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングス(2023年8月に親会社による完全子会社化で上場廃止)でテンバガー(10倍株)を取れた。
ひょっとしたらこれが一番大事かもしれない。「好きこそものの上手なれ」だ。株の場合は財産がかかっているので本気度が違う。投資対象のホームページや決算資料を隅から隅まで読めば、専門性に磨きがかかる。
奥山 月仁
会社員投資家